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白水社
2024年8月5日 発行
A5判 / 184頁
世の中には、特に自己主張する事なく存在する味わい深い街がまだまだ名も知らぬ星のように隠されている。
——寄居旅行記 / p20より
やっと石岡駅に着いて降りてみると、駅前に広がる荒涼とした景色に圧倒され、「もしかして、ここで降りても何の意味もないかもしれない」と思わず立ち尽くしてしまった。日頃から「無駄なものほど経験すべき」などと言っているくせに、いざ本当に意味がなさそうなものと対峙するとこんなに簡単に怯んでしまうとは自分が情けない。
——まぼろしの町 石岡 / p68より
わたしは十八で家を飛び出し、親から受け取ったすべてを崖から放り出して一人で生きてきたつもりでいた。自分を責めながら。
でも、それは何もかも幻想で、捨て去ったつもりでいたものはすべて自分の中にあった。
そんなことに、最近やっと気づけたのだった。
——子安という町 / p161より
2020年に自主制作された「旅の本」を基底に、あらたな書きおろしを加えた一冊が、白水社から刊行されました。
西成、山谷、横浜中華街、団地——
行き先は、観光地ではなく、生活の気配の強い町ばかり。
漫画、イラスト、写真、ことばと多彩な表現によって綴られるのは、可笑しくて、さみしくて、すこし苦い、「無駄な旅」の記録です。
[目次]
はじめに
登場人物紹介
いちょう団地の思い出
寄居旅行記
城ヶ島奇譚
ほら穴
神々の集う島 神津島
まぼろしの町 石岡
偶偶放浪記①土浦
天下茶屋散歩日記
偶偶放浪記②大久保
近所のチベット 笹山団地
偶偶放浪記③子安浜
大阪遠征 西成さすらい編
偶偶放浪記④鶴見線
山谷のアーケード遺跡
沖縄のアサヒ食堂
偶偶放浪記⑤名古屋&稲荷温泉
横須賀の奇人「アトム爺」
横浜中華街にまつわる掌編
子安という町
京急線と奇妙な長屋群
偶偶放浪記⑥横須賀・安浦
関西旅行記
おわりに
初出一覧