訳者 / 奥野克巳・宮崎幸子
発行 / 亜紀書房
2020年3月26日 初版第1刷発行
四六判 / 192頁
他者と“ともに”学ぶこと——
他者と向き合い、ともに生きるとは、どういうことか。
人類学は、未来を切り拓くことができるのか。
現代思想、アートをはじめ、ジャンルを超えた影響と挑発をあたえつづけるティム・インゴルド。
世界の知をリードする巨人が語る、人類学と人類の未来。
世界が直面する未曾有の危機にどう立ち向かうべきか。
インゴルドの思想の核心にして最良の人類学入門。
(亜紀書房のサイトより)
私たちはどのように生きるべきか? 間違いなく、人間はその問いを考え続けてきた。おそらく、その問いを考えることこそが、私たちを人間にする。他の動物には、この問いは浮かばないだろう。動物たちは、多かれ少なかれ、それぞれが自分なりのやり方で物事に向き合うことに没入している。ところが、人間の生き方——行い、考え、知るやり方——は、そうやすやすと伝わるものではない。
——第1章 他者を真剣に受け取ること / p6より
今日、私たちは、「未開」という言葉に畏縮し、必死にその言葉を避けようとしがちであるが、「未開」という言葉を避けようとするこの態度にはある二重性が伴っている。というのは、私たち自身が暮らす社会に対し、「複雑な」、「大きな規模の」、あるいは「現代の」などといった言葉を当てる時はいつも、私たちはその対極にある、単純で小規模かつ伝統的な社会を思い浮かべているからである。
——第4章 社会的なるものを再考する / p94より
最後の手段として人類学者を駆り立てるのは、知識を希求することではなく、気づかいの倫理である。私たちは、他者にカテゴリーや文脈を割り当てたり、他者を説明し尽くしたりすることで、他者を気づかうのではない。彼らを目の前に連れてくる時に私たちは気づかい、彼らは私たちと会話し、私たちは彼らから学ぶことができる。それが、すべての人にとって居場所がある世界を築く方法である。私たちは皆で一緒に世界を築くことができるのだ。
——第5章 未来に向けた人類学 / p148より
[目次]
第1章 他者を真剣に受け取ること
第2章 類似と差異
第3章 ある分断された学
第4章 社会的なるものを再考する
第5章 未来に向けた人類学
解説
原注
読書案内