2022年2月25日 発行
B6判 / 86頁
表紙の刺繡糸の色はランダムでお届けします
(画像1-3枚目参照)
新しい畳は
窓際から色がかわる
裏の公園を一周して
鎖骨をなでる
遮光カーテンがいやで
レースだけ垂らしておく
夜行性だった生き物は
居場所をみつけて
寝ているときに
光るようになった
背中をむけて少しだけ泣いて
ひとりとひとりになって
さみしいのに
やっとさみしくなくなった。
ゆうごはんを食べた
あさごはんを食べる
冷蔵庫の中を思い出しながら
寝返りをうって
いびきを聞いていたら
ハムがないのに気がついた
「一日と輪」p.68より
柏井優佳さんの写真詩集。
これまでに撮りためたという写真と、16篇の詩が収録されています。
表紙を飾る刺繍糸は、手で縫われたものだそうです。
この詩集には、生活の気配が息づいています。
柏井さんが心を持って、このおなじ朝や夜のうえに生活をしているということが、実感をもって迫ってきます。
自分のものでないはずのその心、その生活を愛しく感じるとき、自分の日々にもおなじ眼差しを注ぎたくなります。
隣にいるわけではないけれど、どこかに確かにいる。その存在に思いを馳せれば、一日がすこしだけよいものになる。そんな詩集です。