酒井功雄 / saki・sohee / 編集・翻訳
B6判(128mm×182mm) / 96頁
日本、東アジアにおいて、どのように植民地主義を語ることが出来るのか。
日本の特殊な歴史的、文化的、構造的な植民地主義は、顔を変えて現代でも継続しています。それは西洋文化や帝国主義を内面化すると共に、様々な地域や人々、多様な存在を周縁化し差別しながらも、日本という国家に同化することを求めます。そうして土地と人々の身体の支配を行ってきました。植民地主義の問題は、(…)発展支援という言葉へと姿を変えながら、旧植民地・支配地域、その人々の生を搾取する構造として今日も続いています。
——はじめに / p3より
私は、最終的に人間の経験を表現できる言葉は「詩」だと思っています。もしくは「音楽」だったり、「芸術」だったり。言葉にならない何かによってでしか表現できないことって実在の世界には沢山あると思うのですね。
(…)では、学問、なかでも社会科学のような学問は何のためにあるかというと、一人一人の詩的なイマジネーションの自由な働きを社会生活の中で担保するために、支配的な物の見方や言葉と戦うためのツールを提供するためにあるのだ、と私は考えています。
——#1 脱植民地化運動の変遷と、脱成長を通じて考える
オルタナティブな未来 / p51より
世界には複雑で辻褄が合わないけれど、理由として分かることで向き合い方を知り、良い距離感を持ちながらそれらと生きていくようにもなりました。しかしその思想のなかに存在している不平等にも気づき、なぜ世界中で色々なものの見方が考えられてきたのに西洋の大陸哲学(continental philosophy)が普遍的な考え方とされるのか、という疑問も抱くようになりました。
——#2 歴史の語りを複数化すること / p76より
2023年は、観測史上最も暑い年でした。気候変動によって台風や豪雨の被害が年々悪化している状況が、もはや当たり前のように感じてしまいます。環境の危機は、気候変動だけではありません。地球上の様々な生物種が、類を見ない速さで絶滅している「第6の大量絶滅」に入ったと言われています。
環境破壊や気候変動が悪化してきた歴史の背景には、環境破壊を肯定し推し進めてきた経済や政治、そして文化があります。植民地主義を通じて、植民地の人々や自然を搾取可能な「モノ」とみなし、土地を征服し切り開いてきたことが歴史的な環境破壊へと繋がっていきました。
Decolonize Futures Vol. 2「脱植民地化と環境危機」は、環境危機の根底にある植民地主義を批判し、オルタナティブな未来の可能性を研究する方々とのインタビューを収録した一冊となっています。
立教大学特任准教授の中野佳裕さんと、オーフス大学助教授の本田江伊子さんを招き、脱植民地化運動が様々な変化を遂げながら展開されてきた歴史、脱成長から考えるオルタナティブな未来の可能性、歴史をイデオロギー化せずに複数形の語りをすることの重要性といったトピックについて深掘ります。
(Decolonize Futuresサイトより)
[目次]
はじめに
ZINEのモットー
Vol.2「脱植民地化と環境危機」について
#1 脱植民地化運動の変遷と、脱成長を通じて考える
オルタナティブな未来
#2 歴史の語りを複数化すること
おわりに
次回予告