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訳者 / 尹怡景
発行 / 大月書店
2021年8月23日 第1刷発行
四六判 / 256頁
あらゆる差別は、マジョリティには「見えない」。
日常の中にありふれた排除の芽に気づき、真の多様性と平等を考える思索エッセイ。
韓国で16万部突破のベストセラー!
「日本語上手ですね」例えばそんな褒め言葉が、誰かに苦痛を与えることもある。多数者が変わらずに済むことを優先する社会は、少数者から「痛い」という言葉すら奪う社会でもある。これまでずっと無視してきた痛みに、私たち全員が向き合うための一冊。
——望月優大(「ニッポン複雑紀行」編集長)
差別は日常的にある。いい人でも悪い人でも差別をしてしまう。偏った正義感こそが差別につながると、この本から学んだ。私は「差別があるのは仕方ない」と諦めるのをやめたい。まだ見たことのない、本当の公正な社会。それを目指す道すじをこの本が教えてくれる。
——伊是名夏子(コラムニスト、車いすユーザー)
善意、不安、無知、無関心、被害者意識……と様々な形で「バランスの是正」や「差別の禁止」を阻んでいるマジョリティ〈多数派〉とはいったい誰なのか。認めるのは苦しいけれど、それはおそらく俺たちのことだ。
——清田隆之(桃山商事代表)
(大月書店のサイトより)
一部の人は、特権という言葉に依然として納得できないかもしれない。韓国人として、あるいは男性として生きていくことがこんなにつらいのに、どこが特権なのかと言われるかもしれない。「不平等」という言葉もそうだが、「特権」もやはり相対的な概念である。他の集団に比べて自然で気楽で、有利な秩序があるということは、絶対的に楽な人生だということを意味しない。
——1章 立ち位置が変われば風景も変わる / p35より
どのような能力を測定するかを決め、評価する人の中にも偏向があり、そうして選ばれた評価方式は、多様な条件を持つすべての人にとってかならずしも公平ではない。しかも、評価にはかならず誤りが生じる。このような限界を考慮するなら、ある評価の結果だけで、人に順位をつけて決めるのは危険な発想である。さらに、そのような評価基準をもって人を選別し、人格を傷つけるような差別的な待遇をしたり、永続的なスティグマを与えることで、未来にまで影響をおよぼすのなら、それこそが不公平で不正義なのではないだろうか。
——5章 差別に公正はあるのか? / p120より
本書でふれたように、「私たち」という言葉は、「かれら」を前提にするとき排他的な意味を持つ。映画でも、教室の中で絶え間なく「私たち」が新たにつくられ、解体されることをくりかえしながら葛藤を生じていた。しかし、閉鎖されたひとつの集団としての「私たち」ではなく、数多くの「私たち」たちが交差して出会う、連帯の関係としての「私たち」も可能ではないだろうか。だれかに近づき、「線を踏んだでしょう」「出て行け!」と叫ぶのではなく、みんなを歓迎し、一緒に生きる、開かれた共同体としての「私たち」をつくりたい。
——エピローグ わたしたち / p224より
[目次]
プロローグ あなたには差別が見えますか?
Ⅰ 善良な差別主義者の誕生
1章 立ち位置が変われば風景も変わる
2章 私たちが立つ場所はひとつではない
3章 鳥には鳥かごが見えない
Ⅱ 差別はどうやって不可視化されるのか
4章 冗談を笑って済ませるべきではない理由
5章 差別に公正はあるのか?
6章 排除される人々
7章 「私の視界に入らないでほしい」
Ⅲ 私たちは差別にどう向きあうか
8章 平等は変化への不安の先にある
9章 みんなのための平等
10章 差別禁止法について
エピローグ わたしたち
訳者あとがき
解説 韓国における差別禁止の制度化とそのダイナミズム
(金美珍)
参考文献