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訳者 / 広野和美
発行 / 草思社
2022年7月21日 第1刷発行
四六判 / 248頁
人間は今や、座ったまま退屈している——。フランスの社会学者が、〈歩いて移動する〉という行為と、そこから生まれる幸福感について味わい深い文章でつづる。
(草思社のサイトより)
歩き旅では到着することより、一足一足踏みしめて歩くことが重要で、どの一歩にも意味がある。到着することを気にかけず、どんな目的地もぜひとも到着しなければならないということはない。
——3 リズム / p39より
どんな道も、その姿はくみ尽くせない。ある一日と別の一日で、私たちは決して同じではないように、環境も季節によって、また気候の予期せぬ現象によって絶えず変化する。
——9 風景は生きている / p154より
歩き旅をすれば、古くなって外れかかった重心が立て直される。あるいは、充足したひとときを手にすることで重心がしっかりする。心はすっかり自由になり、とりとめのない空想に耽ることができる。歩き旅は、考えや思い出の内側をゆっくりたどることでもあり、煩わしいスケジュールや時ならぬ電話の呼び出し音に邪魔される心配もない。旅をしている間は社会との距離が適度に保たれ、すべてのことが瞬時に明瞭に見え、思いを巡らして深い観察に没頭できる。
——12 癒しのために歩く / p208より
[目次]
1 さあ、行こう
2 空想のルート
3 リズム
4 歩く人類
5 自分の道を描く
6 厄介なこと
7 コンポステーラへの巡礼路
8 素晴らしい散策
9 風景は生きている
10 孤独と同行者
11 孤立している若者のために
12 癒しのために歩く
13 帰路のメランコリー
訳者あとがき
参考文献