発行 / 朝日新聞出版
2022年7月30日 第1刷発行
A6判 / 376頁
正子は75歳の元女優。CMで再デビューを果たし、順風満帆かと思いきや、ある出来事で事務所を解雇され、急きょ、お金が必要な状況に。
周りを巻き込み逆境を跳ね返す生き方はマジカルグランマ(理想のおばあちゃん)像をぶち壊す!
第161回直木賞候補作。
(朝日新聞出版のサイトより)
腕組みをして背後に座っていた紀子ねえちゃんは、こう宣言した。
「まず、完全に白髪染めをやめてみるのよ。ゆっくりここに通いながら、正子ちゃんの自然のままの髪色を育ててみて」
この年になって、なにかを「育てる」なんて。本格的な保存食作りや園芸だっておっくうで、あきらめているのに。ちょっぴりときめいたのは否めない。
——正子、おおいに嫌われる / p16より
これまでたくさん間違ってきた。核となる部分は、そんなにすぐには取り替えられないのかもしれない。でも、新しい価値観を身につけて、二つを共存させながら、したたかに生活を続けるのだ。この世とあの世を彷徨いながらも、人々を楽しませるお化け役は、そんな今の自分にぴったりだった。
——正子、またセクハラされる / p215より
それなのに、なんて冷たい人なんだろう、なんて自分のことしか考えない人なんだろうと、苦い気持ちになりました。だけど、自分の未来や自分の生活を真剣に考えることの、何がいけないのでしょうか。私たちはどこかでおばあさんは、いや、女というものは、自分を後回しにして、他人のために尽くすべきだと考えてはいないでしょうか? 誰かの犠牲や献身で生まれた幸せはある日突然、終わってしまうことに、もうみんな気付きはじめているのに。
——正子、虹の彼方へ / p369より
[目次]
正子、おおいに嫌われる
正子、ものを売る
正子、またセクハラされる
正子、お化けになる
正子、虹の彼方へ
解説・宇垣美里