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いっせいになにかがはじまる予感だけがする / のもとしゅうへい

1,980円

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2023年11月11日 初版第一刷発行 A5変形判(120mm×200mm) / 238頁 詩人・のもとしゅうへいさんの、はじめての小説作品。 造本設計、ブックデザイン、装画にいたるまで、すべて著者の手による一冊です。 描かれるのは、ふしぎな手ざわりのやさしい世界。詩のようにうつくしい文章と、静かでやわらかな気配のなかに、いつまでも身を置きたくなります。 「端的にわかりあうことをゆるやかに拒絶する世界で、そこに生まれる無数の予感を見つめ、写しとろうとする試み」です。 その港町が僕のことを追い出したとき、オフィスビルに住む老人は、バス停を押す女は、名前のないワニは、インターネットの予備校生は——透明な移動が曖昧な身体を運び、見知らぬ他者の生活を静かに貫くロードムービー ——帯文より その港町が僕のことを追い出したとき、すでにひとつの冬がおわろうとしていた。でも冬のおわりは春のはじまりではないから町にはまだ季節がなかった。新しい季節は僕が荷物をまとめてそこを発つのと入れ違いにやってきて、3月という仮の名前を手にしていた。もうずっと前の話になる。 ——半島 / p9より なにかを焼く甘い匂いが開いた窓から忍び込み、雑踏を埋めてひしめき合う露店のネオンが、裸の夜にグリーンやピンクの粒子を放った。ドーム型の駅舎の奥には鋼のような夜空が広がり、電球色の明かりに包まれた高層住宅が互いの安否を確認するみたいに不器用に向かい合っていた。 ——4つに切り分けたレタスバーガー / p90より 僕は手帳を開き、明日以降の予定と昨日までの支出を書き込んだ。レモンケーキの表面は想像していたよりも硬く、フォークの先にいくらか力を込める必要があった。豊かに角を立てるホイップクリームが傾いたままコーヒーの上へ浮かんでいた。 ——取り返しのつかないくらい大きな魚 / p177より [目次] 半島 この都市の、いちばん大きな流れのことです 4つに切り分けたレタスバーガー そてつ、すもも、洗濯 取り返しのつかないくらい大きな魚 クリスマスローズの花束 プロローグ

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