発行 / イースト・プレス
2025年4月10日 第1刷発行
四六判 / 208頁
人生に意味なんてあるだろ。
マイノリティの生きづらさと向き合いながら、確かな希望を見出す29篇のエッセイ。
*
世界の中心はお前じゃない、私でもない。
やさしいって、こういうことだったんだ。
——上坂あゆ美(歌人・文筆家)
誰のせいにもしない。
納得するために、命がけで書く。
すごい人がいる。
——岸田奈美(作家)
すごく楽しい本なのに、
なんかどこまでも救われてしまいました。
——花田菜々子(書店員)
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——本書「はじめに」より
LGBTQのシンボルカラーはレインボーですが、ゲイとして生きてきた僕のこれまでは、どちらかと言えばグレーでした。
本書には、グレーな毎日にいちいちライフを削られる僕の弱腰な人となりと、それでもグレートなライフを諦めたくない僕の意地のようなものが込められています。
自分と同じように、毎日わからないことばかりで喫茶店の端でうずくまってしまうような人がもう一度席を立ってみようかと思うその助けに、少しでもなればと願っています。
なんとなく前向きになれたり、なんとなくホッとしたりする、そんな曖昧な希望があるような、ないような、そんな本であってくれたらと願っています。
(イースト・プレスのサイトより)
誰かに反論する時は、言い方を大切にしたいというよりも、その人の奥にある思いを無視しないようにしようと、いつも考えている。無茶なことを言うやつに対していつも言葉を選ぶ必要はないし、人間であれば棘のあるやり取りをしてしまう時は誰しもある。相手の主張次第では、徹底的に批判するべき局面だってある。ただ、相手の奥にある思いを理解しようとして、うまく理解できたと思えた時は気持ちが楽になるし、その方が建設的になることも多い。だからもし彼らにどこかで会ったなら、笑って話したいと僕は思う。それでも話が平行線になるのなら、「よろしうやりや~」とでも言って別れたい。きっと彼らの記事に救われた人もいるのだろうから、彼らには彼らなりに頑張ってほしいと思う。これがジャムこと太田なりの、闘い方なのである。
——よろしうやりや / p39より
人間は生きている限り、何度も思わぬ出会いを経験し、その中で新たな人生の指針や支えを見つけていく。つまり出会いとは希望であり、人生が希望に満ちているということは、決して感傷的な美談ではなく、厳然たる事実だ。人生とはとてつもなく面倒で、それでも生きるに値するほどの希望に満ちている。そのことをどうか覚えていてほしい。
——まだ会っていない人がいるのよ / p106より
けれど今分かることは、たとえかっこわるくとも、僕にはこの生き方しかなかったということだ。白黒つけがたいものの前で毎度立ち止まり、グレーをグレーとしてじっと見つめ、社会や誰かの心理に想いを馳せることを、僕はやめられなかった。なぜなら、どんな人の痛みもできれば理解したいと願い、そして、だれに対してもできればフェアでありたいと願い生きることが、僕にとっては大切だったから。そうやって生きることが、マイノリティとして生まれた僕にとってのプライドだったのだ。
——あとがきにかえて / p204より
[目次]
はじめに/美学という平等/やさしいつくりもの/笑ってのぼる、その悲しみについて/よろしうやりや/傘がある /また(気が)合う日まで/愛にも難易度がある/バック・トゥ・ザ・鶴瓶/おたのしみ権(利)/かわいそうなこと/未熟者には「へへへ」がお似合い/やさしさは、どこへいく/想像の彼/ときに下ろうと、上り坂にたつ/まだ会っていない人がいるのよ/おれは、おれなりに/晴れやかな後悔/コミュニケーションは急げない/心のヒダ/救いの手はひかっている/感謝は、遅れてやってくる/適当なおじさん/両手ですくうように/おれの個性は、おれが決めるんだぜ/みつばちへ/さようなら、鏡月/Piano Man/幸福な道/幸福な道の先/あとがきにかえて