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発行 / 亜紀書房
2020年12月15日 初版第1刷発行
四六判 / 208頁
ジェーン・スーさん推薦!
「個人的な経験を丁寧に解していくと、そこに社会が現れる。読後、自分の話にじっくり耳を傾けてもらえたような充足感を得る人は多いだろう。私もそのひとりだ」
僕らはいい加減、都合のいい妄想から目を覚まさなければならない。圧倒的な非対称を生きる僕らは、どうしてその事実に気づけないのか。真に女性と、他者とつながるために、乗り越えねばならない「男性性」の正体とは何か。
50歳となった著者が、自らの体験を出発点に「いかにして男はマッチョになるのか」「どうすれば男性性を脱ぎ去ることができるのか」を問う。
——これまでにない男性をめぐる当事者研究!
(亜紀書房のサイトより)
こういうことを書くと、勇気の価値を不当に貶めているように聞こえるかもしれない。でも、これは僕たちが価値を置く勇気の否定的な側面を取り上げているだけだ。勇気を奮うことがいつだって良いこととは限らない。特に、この社会が価値を置く勇気のあり方は、幼い自分に僕らが体験の中で掴み取った感覚とは異なっているからだ。
——1章 どのようにあたかも自然と男は男になってきたのか / p47より
生き残るために強くなれ、力を得よ。それが男らしい生き方であると暗に父に言わせていたのは、彼の幼少期のトラウマであったのは間違いない。仮に、息子である僕がその教えを受け継いだとしたら、その価値観を育てたトラウマも継承することになるだろう。自分が体験していないはずの、人は弱者に無頓着であり、世の中は厳しいといった目で社会を見ることになったはずだ。しつけと言われるものの中味は実は、自分が負った傷を継がせることになっているのではないか。
——3章 切断の恐怖と悲しみと痛み / p96より
感覚的だと言われる話し方は「時系列に置き直して順序よく話すには膨大すぎて、端的にストーリーとして語ることができないくらいの感情と感覚がそこにある」ことを示唆しているのだと僕は理解している。そして結論が見えないと言われがちな「まとまらない話」というのは、散漫ではなく「わかりやすい解釈を通じて話すことができない」ことを意味しているのだと思う。だから、何が必要かというと時間だ。耳を傾けるという滞空時間が必要なのだ。男たちはそれが冗長に感じて耐えられない。なぜだろうか。ひょっとしたら自分とは異なる存在のありありとした「他者性」を感じることを回避したいのではないだろうか。
他者性とは「その人としての固有のありよう」のことだ。他者性と向き合うには、時間の遅延が必要になる。なぜなら、これまで自分が経験してきたことのない事柄について知ろうとすれば、簡潔な理解などありえないからだ。
——5章 男性性と女性性 / p188より
[目次]
はじめに
1章 どのようにあたかも自然と男は男になってきたのか
2章 恐怖と勇気が与え、奪い去ったもの
3章 切断の恐怖と悲しみと痛み
4章 猥談とノリ
5章 男性性と女性性
終わりに