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踊る自由 / 大崎清夏

1,980円

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左右社 2021年6月25日 第1刷発行 四六判変形 / 112頁 喋っているうちに 私は どうしてもその人に触りたくなったのですが それは法律で禁じられている行為だったので かわりにその人を じっと見ました ほんとうはもっと長いこと 見ているつもりだったのですが 幸いその人には 私に見せたいものがあったので 私はその人から目を離して その人が見せてくれるものを見て ひとつひとつに感想を述べました 見られたくないものを見せたいもので隠して そのくせ見られたくないものを見破ってほしがっている 私がそういう めんどくさい生きものだからといって その人もそうとは限らない と私は考えました でも——見間違いかもしれませんが その人は嬉しそうに笑ったあと 微かに不服の顔で私を見ました 私はただ、その人と私の間に また互いを見たいという共通点のあることを確かめて 電車に乗って家に帰りました その人と私との間にあったのは それだけです 「触って」p.8より 詩集「指差すことができない」で中原中也賞を受賞した、大崎清夏さんの新詩集です。 かすかに連なり、接点を持って響きあう部分がありながら、それぞれにまったく別世界の、30篇の詩が並びます。 切実で、不穏で、心に直接濡れた手が触れてくるような、生々しい魅力の詩集です。 詩でありながら、どこか、短編小説を耳元で囁かれるような読み心地がします。 この本を開くと、題名のとおり、ことばも文字も躍っていることが分かります。 踊りのリズムに身をまかせたら、自分ひとりでは辿り着けない、この詩集だけが連れて行ってくれる場所へ、そっと踏み入ることができます。 目次 ふたりで  触って  両性の合意  遺棄現場  ハバナ  采女  線画の泉  裸子植物を塗る筆  照明論  渋谷、二〇一一  東京 ひとりで  プラネタリウムを辞める  図書館の完成を待つ  一遍  破壊行為  ジョーカー  世界が踊っているのだから——für Pina  みや子の話  渋谷、二〇二一  川沿いの道を歩く方法  魂の療養所 松浦佐用媛、舞い舞う  まね・ぶ——学ぶ  まるはなばち——丸花蜂  まつばら——松原  まくら——枕  まぼろし——幻  まね・く——招く  まなづる——真鶴  まれびと——客人  まなざ・す——眼差す  またた・く——瞬く

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