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凜として灯る / 荒井裕樹

1,980円

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発行 / 現代書館 2022年6月23日 第一版第一刷発行 四六判 / 240頁 第15回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞受賞後最初の書き下ろし作品! その人は『モナ・リザ』にスプレーを噴射した。 理由を知るには人生を語る覚悟がいる。 1974年4月20日、東京国立博物館で開催された「モナ・リザ展」一般公開初日。人類の至宝と称される絵画「モナ・リザ」(レオナルド・ダ・ヴィンチ作)に、一人の女性が赤いスプレー塗料を噴射した。女性の名前は米津知子。当時25歳。「女性解放」を掲げたウーマン・リブの運動家だった。 取り調べのために連行される警察車両の中で、彼女はクスクス笑いが込み上げていた。極度の緊張と、やっと落とし前をつけられたうれしさの中で。女として、障害者として、差別の被害と加害の狭間を彷徨いながら、その苦しみを「わたしごと」として生きるひとりの、輝きの足跡。 (現代書館のサイトより) 自分の身体の中に、言葉にしてはならない箇所があるというのは、どのような感覚なのだろう。一方的に見られたり、よそよそしく目をそらされたりするばかりで、自分から語ることを許されない身体を生きるというのは、どういった感覚なのだろう。 当時の知子には、自分の身体を、自分で生ききっていないような不全感があったのかもしれない。あるいは、自分の身体の一部が何かによって奪われ、抑えつけられているような喪失感があったのかもしれない。 ——三章 バリケードの青春 / p54より 一般にリブというと、「女らしさ」という価値観に反旗を翻した運動と受け止められる。確かに、リブは男の価値観で作られた社会の常識・価値観・概念など、女を閉じ込める形のない檻を壊そうとした。 彼女たちは「望ましい女性像」を壊そうとした。ビラや集会では、「テメェ」「ガキ」「メシ」といった粗野な言葉や露骨な性的表現が意図的に使われた。 ——七章 産むか産まぬかは女が決める / p128より もう一つは、物事の因果関係や理由について簡潔に語らないことをしたかったのです。普通、学者が行う研究は物事の因果関係を簡潔に示すことが求められます。しかし、この本ではあえて正反対のことをしました。 なぜ米津さんは『モナ・リザ』にスプレーを噴射したのか。その動機を知るには、米津さんが歩まれた人生を知る必要あります。 人には、人生を語ることでしか語り得ない動機や理由があるはずです。ならば、その生の足跡を分析したり解釈したりするのではなく、無数の経験のつらなりとして語る必要があるのではないか。そうした語りに相応しい文体を模索しました。 ——謝辞 / p237より [目次] プロローグ 一章 温情と締め出し——『モナ・リザ展』と障害者 二章 道徳律の思春期——補填具とストッキング 三章 バリケードの青春——大学闘争と美共闘 四章 女たちの叛乱——ウーマン・リブの誕生 五章 草原の裸体——リブ合宿開催 六章 拠点の旗揚げ——リブ新宿センター開設 七章 産むか産まぬかは女が決める    ——優生保護法改悪阻止闘争 八章 女への不信——怒れる障害者たち 九章 惨めなわたし——車椅子と歩道橋 十章 わたしに罪はない——裁判闘争 エピローグ 引用資料・参考資料 謝辞——「あとがき」にかえて

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