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暗闇に手をひらく / 大崎清夏

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発行 / リトルモア 2025年1月1日 初版第一刷発行 四六変 / 136頁 軽やかに言葉と遊び、現実を深く見つめる人気の詩人・大崎清夏。『地面』、『指差すことができない』(中原中也賞受賞)、『新しい住みか』、『踊る自由』に次ぐ、待望の第五詩集! 自分の手で作ること、描くこと。 辞書にない私の言葉を持って生きること。 戦争も災害もある今を生きている私たちが 口ずさむと力になる、歌のような詩。 (私の生活はこっちだ、)と標になる31篇。 わたしの中に詩の種が蒔かれ 日常に言葉の風が吹き始める ——植本一子 / 写真家 (リトルモアのサイトより) 人間の作った小さな場所では 言葉はときどき、信じることが 震えてくるほど難しい。 想像もつかなかった光景を見て 何も持たずに逃げてきたあなたを 下ろした両手は抱きしめる。 ——本書冒頭より 私たちはよく喋ったものだ 結婚すべきかすべきでないか 子をうむべきかうむべきでないか 仕事を続けるべきか変えるべきか 男を捨てるべきか赦してやるべきか 私たちの復讐のために どんなふうに人生を 愉しんでやるべきか 戦略を立てるために 私たちはよく喋ったものだ そしていざ準備が整うと 黙って各々の戦場に向かったのだ (そうして無理難題に挑んだのだ  登る道のない山の麓に立ち  首を絞められても発言し  眠らされても走って逃げて——) いまでは彼女たちと会うことはない 年に一度 でなければ数年に一度 遠くの惑星に手を振るように 短い信号を送りあうだけだ あるいは信号が絶えて久しくても 奈落に落ちていきそうなとき 彼女たちの名前を唱える 丁寧にはたらき 勇敢に愛し 人間を育て 研究し 治療し 教え 詩や絵や劇や音楽をつくり 傷ついても傷ついても傷ついても まだ血の通った足で立っている 彼女たちの名前を 二十一億光年の彼方から 短い信号が返ってくる どんな判決の前例より どんな偉人の物語より たしかな光が ——女ともだち / p39より [目次] 暗闇に手をひらく  始まる日  あとに残らないものを作る  六角形の窓  風の匂いを四人で嗅ぐ  都市と信仰  朝のあいさつ  作って食べる  女ともだち  angelito  青い鳥たち  襟ぐりをひらく  記念写真  蒔かれる  立ち止まるために  私の手 七月音頭と鹿  棚田とはぜの木  餘家さんと藤本さんの話  七月音頭と鹿  スケッチに出かけた先生  嬉しいむかしばなし 明るいところを歩く  ある庭で  蝶の夢  泥んこ遊び  詩人  燕岳、秋、立つ  循環に、混ぜてもらう  水を汲む  癒える  パサージュ 私は思い描く

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