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発行 / NHK出版
2026年5月10日 第1刷発行
新書判 / 224頁
わかり合えない他者を、敵にしないために。
分断が極まり、「正しさ」がSNSでぶつかり合う社会で、私たちは他者といかに語り合えるか。
アメリカの哲学者リチャード・ローティは、共通の基盤なき世界でそれでも人が共に生きる可能性を問い続けた。その哲学から、分極化の時代を生きるための知的作法を鮮やかに引き出す。
大好評だった『100分de名著 リチャード・ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』』テキストを大幅改稿。
死後に注目された「予言」や主著以外の発言にも光を当て、その思想の先進性をいま問いなおす。著者初の新書!
(NHK出版のサイトより)
私たちにできるのは、揺るがない共通の足場などもたない、バラバラで誤りうる私たちが、それでもどうにか共に生きていかなければいけない、という端的な事実に向き合うことです。そうやって、なんの根拠も保証もないけれど、相手のことばに自分を委ねたり、時には手を携えたり、せめてお互いに降りかかる苦しみや痛みについて、それがとりのぞかれるよう願えること——それをローティは「連帯」と呼びました。
否応なくバラバラな世界で、バラバラなまま、しかし共に生きるために、どんなことばを使うべきなのか。本書を通じて、ローティとともに考えていければと思います。
——はじめに / p12より
人権はたしかに大事な概念です。それは帰結において大事だと言えます。「人には人権がある、だからそんなことはやってはいけない」という話のために使ってこそ人権ということばは活きる。しかし人権が本質だという話になると、そもそも相手が私たちと同じ人間だという感覚がない場合には、それは前提において機能しなくなってしまいます。
——第3章 ことばによる「非-人間化」に抗う / p100より
私たちは自分自身でも自覚することなく、たくさんの価値観や社会的な規範をよしとしています。このことは、とくにマジョリティが暗殺の前提としがちな価値・規範による恩恵をこうむっている人には意識しづらいものです。逆に特定の場面でマイノリティになるとは、まさに大多数が前提としている価値・規範において自分自身の在り方が認められていないことです。しかもそれは、明示的に名指されて排除されるよりも、そもそもその場に「存在していない」ことになっていて、暗黙のうちに排除されていることのほうが多いかもしれません。
——第6章 〈正しさ〉を乗りこなす / p197より
[目次]
はじめに
Ⅰ バラバラな私たちを理解する
第1章 私たちは「ことばづかい」でつくられる
第2章 黙らせることをめざさない
Ⅱ バラバラな世界を直視する
第3章 ことばによる「非-人間化」に抗う
第4章 「われわれ」は拡張できる
Ⅲ バラバラなまま共に生きる
第5章 分極化した時代をどう生きるか
第6章 〈正しさ〉を乗りこなす
おわりに
謝辞
読書案内
注