木下眞穂 / 訳
書肆侃侃房
2024年2月24日 第1刷発行
四六判 / 256頁
家に帰りつくまで、ずいぶん遠回りをしたもんだ。そろそろ俺もその方面ではスペシャリストになりそうだな。つまり、単純なことも俺の手にかかると解決不可能な大問題となり、そこからさらにややこしくなり、もう手も足も出ないってところで、ようやく前に進むことができる。あまりにもしょっちゅうこういうことが起きるもんだから、これがいわば俺の生きる道なんじゃないかとすら思う。
——コソボチームのシャツ/ p55より
こりゃいい。一日のスタートにはもってこいだ。発作的に俺は俺を殺したくなった。が、あきらめた。この呪いに抗おうとしたって意味がない。どこぞのだれかが大喜びするだけじゃないか。このすごい呪いには、だれか、とんでもなく偉いクソッタレに責任があるはずだ。
——幻ってやつは / p155より
郵便配達をしていた俺は故郷の「くに」から逃げてきた。妻のカルラと幼い息子とともに「島」で不法滞在している。買い物をした帰りに乗っていた地下鉄が故障で止まってしまい、右も左もわからない場所で降ろされてしまった一家。なんとか家にたどり着こうとあれこれ画策するが、やることなすことすべてが裏目に出て——。
周囲から存在を認められず、無視され続ける移民の親子は、果たしてどうなるのか?移民の置かれた立場を不条理かつユーモラスに描く傑作長編。
(帯文より)
[目次]
ツキを呼び込む
やりすぎだよ
コソボチームのシャツ
むしゃぶりつきたくなる
神さまの大間違い
偽りの思い出
幻ってやつは
自分で自分を刺す
好きで自分勝手になったわけじゃない
俺たちの四十キロ
訳者あとがき