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不完全な司書 / 青木海青子

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晶文社 2023年12月15日 初版 四六判 / 256頁 私の来し方には、いつもそこに、「本」と「生きづらさ」が座しています。生きづらい状況を生き延びるために、本を携えてきたようなところがあるので、自分自身の読んできたものと、読書の周辺を紐解くだけで、「この人、よく生きていたなあ」と何やら放心してしまいます。ルチャ・リブロはそんな私自身の読んできたものをぱっと開いたような場所で、だからこそ、少ししんどい状況にある人がふとこの場所を見つけて遠い道のりをやってきてくれるのではないかと考えています。 ——まえがき / p7より 「自分達だけでは抱えきれない問題があったから」開いた切実な私設図書館ですが、今ではそこからもっと遠くにやってきた気がします。「問題意識を開いて、共に読み共に考える」ことが、知らず知らずのうちにお互いをケアさせ、強くして、遠くまでやってくるための気力をつけてくれたように思います。 ——1 司書席から見える風景 / p44より 誰かに差し出してもらった本を読み始める時、背後で窓が開くように感じることがあります。自分が目を向けてこなかった場所で、錆び付いて埃を被っていた窓が半ば強制的にこじ開けられ、風が入り、部屋の中が明るくなるような気がするのです。その衝撃は時に、強風や目を刺す光となり、私をよろめかすこともあります。けれど本を差し出してもらったその時から、私はどこか強風が吹けばいい、眩しさに包まれればいい、よろめいて、何なら頭をぶつけたらいいと思っているところがあります。 ——3 ケアする読書 / p205より 本は違う世界の光を届ける窓 図書館は人と人の出会いの場所 司書の仕事はケアにつながる 奈良県東吉野村にひっそりとたたずむ「ルチャ・リブロ」は、自宅の古民家を開いてはじめた私設の図書館。 このルチャ・リブロの司書が綴る、本と図書館の仕事にまつわるエッセイ。 人と接するのが苦手で、本という「窓」から外の世界と接してきた。そんな著者が自らの本棚を開放することで気づいた「図書館」の本質的な効用。精神疾患を抱える「支えられる立場」から、司書という「人を支える立場」になりえた体験を通じて、司書の仕事の豊かさ、奥深さ、そして本という「窓」の持つ力が伝わってくる。 読むと訪れてみたくなる、ある個性的な図書館の物語。 (晶文社のサイトより) [目次] まえがき 1 司書席から見える風景  不完全な司書  本という窓  古い家で、いとなむこと  蔵書を開くことは、問題意識を開くこと  ルチャ・リブロの一日  公と私が寄せては返す  窓を眼差した人  時間がかかること、時間をかけること  諦めた先の諦めなさ  ペンケースを開け放つ  森から来た人達  知の森に分け入る  葛根湯司書  図書館への道  ルールとのつきあい方  偶然性と私設図書館  夜の海の灯り 2 クローゼットを開いて  クローゼットの番人が、私設図書館を開くまで  幽霊の側から世界を見る  当事者であること、伴走者であること  絶対あると思って探しに行かないと見つからない  探求のお手伝いが好き、レファレンスブックが好き  カーテンに映る影  本と暴力と  光の方へ駆ける  窓外に見えるもの  旅路の一里塚  明るい開けた場所に出られるような言葉 3 ケアする読書  デコボコと富士正晴  書くことのケア性について  「分からない」という希望  生きるためのファンタジーの会  木炭で歯をみがくことと、オムライスラヂオ  私の影とのたたかい  背後の窓が開く  「土着への処方箋」のこと  「本について語り合う夕べ」のこと 4 東吉野村歳時記  峠をのぼるひと、のぼる道  屋根からの手紙  とんどと未来  馬頭観音祭と、往来と あとがき

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