暮らし05
百万年書房
2024年1月29日 初版発行
四六変型判 (120mm×188mm) / 232頁
「将来赤ちゃんが作れなくなるって言うよ」
私の身体にそれが求められることは、あるのだろうかと思った。作る、という言葉にも違和感があった。問い詰めたら、言葉の綾だとか、どうせそんなことを言うのだろう。
陽は沈んでいく。うまくできた半熟卵の色のように、ぼうぼうと燃える空だ。これから、薄紫色のマットな空と入れ替わるところだった。広場にいる人たちは立ったり座ったりしたまま、太陽が隠れて見えなくなるまでそれを眺めていた。
沈み切った後もしばらく、私は動けなかった。
——01 / p23より
私は、何かが途切れることなく続くことに良い印象を持っていない。続けていたら思いがけない喜びに出逢うことはあるが、続くことがそんなにいいか。ここで終わっても、いいのではないか。
——03 / p55より
ひとりなのに親子だという。足は多いが横にしか進めない。そんな奇妙な名を持つ書き手は、自分の体が過ごしてきた時間を気重たげに行き来する。
文章を書くことはどうしたって誰かが生きた時間の肯定になることをこの本の文章は教えてくれる。湖底に潜むような、重くて鈍い、けれども確かな希望。
——滝口悠生 /帯文より
暮らしレーベル、第5弾。
ずしりとのしかかる苦しさと、切実さ。けれど、読みおえるころ、この本がささやかに、背中を支えてくれていることに気がつきます。
[目次]
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05
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