暮らし04
百万年書房
2023年8月8日 初版発行
四六変型判 (120mm×188mm) / 204頁
せいかつのなかに
詩がある
という人は
詩が
せいかつよりも
逼迫した 希少なものだと思っているらしいが
本来 詩のなかにせいかつがある
というほうがただしい
——飢えなのです / p44より
夫とふたりソファに掛けてテレビを観ているとき、実際のところ半分ぐらいは夫のことを見ている。というと性愛に浮き足立った新婚しぐさに思われそうだが、実態はもっと冷めたもので、単にテレビに退屈して、ひとりものも言わず暇をつぶしているのである。
——わたしは、その顔あんまり好きじゃないな / p57より
「でも……」と言ったきり、わたしはなにも言えなくなる。そして、わたしたちは沈黙する。沈黙がなにかを伝えあえるとは思わない。夫の言うとおりだ。相手が感じていることはおろか、自分が感じていることさえ、わたしにはよくわかっていない。(中略)薄暗いホテルで、湿った暗闇の中にある自分の心を思う。わたしの目には見えない、透きとおる夫の心を思う。わたしたちは沈黙しつづける。ただそばにいるだけでわかることなんて、絶対にない。
夫のことが好きだ。
——ああ、また、わたしが間違っていたのだな / p123より
暮らしレーベル、第4弾。
詩人・向坂くじら、初の散文集。
「暮らしより大切なものがある人間は、いかにして暮らせばよいのだろうか?」
(百万年書房のサイトより)
[目次]
オッケー、愛情だけ受け取るね
わたしはね、もう、これでいくのよ
おおむね、ね(笑)
俺は論理的に話したいだけなんだけど、
彼女はすぐ感情的になって
飢えなのです
合理的に考えて、死んだほうがマシである
わたしは、その顔あんまり好きじゃないな
歌を歌っていましたか
昼下がりが/部屋を/包んだ
目のあわない距離
「そっちでいくのかよ」
ものをなくしつづけて生きている
彼岸
笑う姿を見てて、うれしい
ああ、また、わたしが間違っていたのだな
熱が出ると
いちばんふつうの家のカレーが好きなんだよね
うちではお手伝いひとつしなかったのにね
あいをたいせつにね!
ごめんね、ハイジニーナちゃん
関西弁で、しゃべってみたいわあ
あんまり、遅くならずに帰ってこようね
なんでこんなところにいるんだっけ
春
あとがき