発行 / 皓星社
2025年4月1日 初版第一刷発行
四六判 / 344頁
パレスチナ/イスラエル問題を
「自分のこと」として考えるために
国際法に明確に違反する虐殺であるにもかかわらず、「停戦」まで長すぎる月日を要し、さらにいまだ続くイスラエル軍によるガザ侵攻。
イスラエル建国を支持し、その筆舌に尽くし難い暴力を黙認し続けてきた欧米諸国の責任が問われる現在、かつて東アジア史におけるグレート・ゲームに名乗り出た帝国日本との関わりを起点に、国際的な植民地主義の負の遺産を検証する。そして、ユダヤ人国家・イスラエル建設の発想はどのように生まれ、知識人たちはどのように正当化/批判してきたのか、思想史の観点からも経緯を追う。
社会思想史研究者であり、パレスチナ/イスラエル問題にかかわってきた著者によるこれまでの主な対談のほか、また南アフリカ現代史の研究者・牧野久美子さんと植民地期および解放期における在日朝鮮人の生活史/ジェンダー史研究者・李杏理さんとの新規鼎談も収録。
(KADOKAWAのサイトより)
パレスチナのガザ地区被占領地で、イスラエル軍が大量虐殺と大規模破壊をしている。もちろんこれは、最近始まったことではない。もう20年近く、ガザ地区は封鎖状態に置かれてきたし、それ以降、この封鎖下でガザ地区は、爆撃と陸上侵攻を繰り返し受けてきた。
——まえがき / p3より
この「アラブ社会(パレスチナも含む)は家父長制が強く、女性に対して抑圧的である」という言説は、一面でそのような側面があるのは事実としても、それがあたかもアラブ社会の本質であるかのように語るのは、明らかに間違いである。というのも、第一に、そもそもアラブ世界に対するヨーロッパ諸国による分割殖民地支配時に、地域の家父長的な男性権力者が傀儡的に利用されてきた結果として、家父長制は植民地下で維持・強化されてきたからであり、それはヨーロッパ支配との共犯関係だからである。
——第Ⅱ部 欧米思想史から見たパレスチナ/イスラエル
/ p150より
追放は暴力である。占領は暴力である。封鎖も暴力である。空爆は言うまでもなく暴力である。しかもイスラエル軍は、イスラエル兵の人命は巻き添えになるパレスチナ人の子どもの人命に優先するという「軍事倫理」、一人の標的「テロリスト」の殺害のためには周囲のパレスチナ人の巻き添えは10人でも20人でも許容されるという「軍事倫理」を持っている。占領下で封鎖下で空爆下でパレスチナ人が、民主社会の作法が通じないために何がしかの抵抗をすると、それは「テロ」と名指されて千倍返しの懲罰暴力、大量虐殺、ジェノサイドを受ける。衆人環視のもとで、世界の黙認のもとで。
とてつもなく転倒した世界だ。
——あとがき 幾重にも転倒した世界に抗して
/ p318より
[目次]
まえがき
本書関連年表・地図
第Ⅰ部 東アジア史とパレスチナ/イスラエル問題の交差
はじめに
1 帝国によるグレート・ゲーム
2 パレスチナ一〇〇年戦争の起点
3 セトラー・コロニアリズムの同時代性
4 レイシズムによる同化と差別のダブルバインド
5 民族浄化と「一九四八年体制」
6 オスロ体制の欺瞞とハマースの台頭
7 徐京植を読む(一)
8 徐京植を読む(二)
9 徐京植を読む(三)
おわりに
第Ⅱ部 欧米思想史から見たパレスチナ/イスラエル
はじめに
1 モーゼス・ヘスとテオドール・ヘルツル
2 ダヴィド・べングリオン
3 コーエン、ローゼンツヴァイク、ショーレム、
ブーバー
4 ハンナ・アーレント
5 エマニュエル・レヴィナス
6 ジャック・デリダ(一)
7 ジャック・デリダ(二)
8 ハミッド・ダバシ(一)
9 ハミッド・ダバシ(二)
10 ボヤーリン兄弟とパレスチナ・フェミニスト・
コレクティヴ
おわりに
第Ⅲ部 世界の矛盾が集約したパレスチナ
(牧野久美子×李杏理×早尾貴紀)
第Ⅳ部 パレスチナ/イスラエル問題を語る
「大災厄」は過去ではない(臼杵陽×早尾貴紀)
野獣の膨れた腹の中にサイードを解き放つ
(姜尚中×洪貴義×早尾貴紀)
負の遺産として当時を知る(小杉亮子×早尾貴紀)
あとがき 幾重にも転倒した世界に抗して
索引