クセニヤ・チャルィエワ / 絵
高柳聡子 / 訳
エトセトラブックス
2023年2月24日 初版発行
四六判 / 128頁
あるとき、私たち女の子は黙って秋の市営公園を歩いていた。「私、自分の国を前ほど憎めなくなっちゃった」と私は歩きながら考えもせずに言った。「私たちの一部になってきてるんだよ」と女の子の一人が返してくれた。
——p19より
数か月後、私たち女の子の堪忍袋の緒が切れた、それで私たちはひとつの人間の塊になって、新しい公的機関へと転がり出したのだった。
嬉しくて耳のうしろがくすぐったかった。私たちは、何か新しいもの、偉大なもの、大きな窓があって風が通るものを期待してわくわくしていた。自尊心を感じて我を忘れ、励ますように優しくお互いに見つめ合った。
——p41より
私たち女性は、生殖システムによって戦争と結びつけられている、国家は、私たちが、人間ではなく、大砲の餌食となる兵士たちを国のために産むことを望んでいる。
(中略)
私は、家庭内暴力との闘いを続けることが重要だということも信じている。なぜなら、戦争は家で始まるからだ。妻や子供を殴る男は、他人の土地の妻や子供を殺す男に容易に変わりうる。家庭は、将来、戦場で暴力をふるうための練習場ではない。暴力を慣習にしてはならない、社会の規範として認めてはならない。そうすれば戦争が当たり前ではない未来が訪れることだろう。
——日本語版への序文 / p11-13より
「親愛なる女の子たち、私たちには決死のストライキが必要だよ。生きていることが耐えがたくなったよ」
プーチン政権下で「国の道具」にされてきた非正規雇用の〈女の子〉たちが覚醒する。
ウクライナ侵攻前夜に書かれた、フェミニスト誕生小説。
ロシアの作家でフェミニスト、反戦活動家であるダリア・セレンコが描く、プーチン政権下の「公的機関」で働く女の子たちの物語。国にとっては安上がりな道具に過ぎないけれど、私たちがいなければこの国は動かないのでは? 国家と社会の歪みを、日々、身体で受け止めていた彼女たちは、ついにその理不尽さに気づき……。
(エトセトラブックスのサイトより)
[目次]
訳者まえがき
日本語版への序文(ダリア・セレンコ)
女の子たちと公的機関
——ロシアのフェミニストが目覚めるとき
前史
あとがき
訳者あとがき