塚原久美 / 訳
書肆侃侃房
2024年4月10日 第1刷発行
四六判 / 376頁
何よりも難しかったのは、女たちが抱えている罪悪感や自責の念を打ち消すことだった。たとえ子どもを産む経済的余裕がなく、育てられないとわかっていても、中絶を求める女は利己的で、不道徳で、女の義務を否定しており、愚かで、不注意だから妊娠したのだといった社会の批判を、彼女たちは内面化していた。
——第3章 / p68より
「女には選択肢があるべきです」とセリアは言う。「当時もそう信じていたし、今も信じています。でも私自身は、もうあんなことは二度とできない。自分のしたことを後悔している自分がいるんです。中絶そのものを後悔しているわけではなくて、本当は選びたかったことを選ぶ勇気がなかったこと、しないことを選べなかった自分を後悔しています。それは別のことなのです(中略)自分自身のパーソナルな感情と、女が自分で決める権利が必要だという考えは、切り離しておくことが重要だと思います」
——第13章/ p196より
女のセクシュアリティは、聖女か娼婦かという二項対立の道徳観と、避妊や中絶を禁止する法律によって管理されてきた。「彼女は楽しんだのだから、その代償を払わせなさい」と、妊娠は性行為に対する罰として扱われてきたのだ。<ジェーン>のメンバーは、他のフェミニストたちと同様に、女には性的快楽を得る権利があることを理解していた。それは彼女たちの解放に不可欠なものだった。
——第15章 / p221より
「妊娠して困ってない?<ジェーン>に電話して!」
中絶が違法だった半世紀前の米国シカゴ。女たちが女たちを助けようと立ち上がった違法の地下組織<ジェーン>。
安全な人工妊娠中絶を求め駆け込んだ女性たちの数は推定1万1000人——
激動の時代を赤裸々に描いた衝撃的なノンフィクション。
(帯文より)
[目次]
日本の読者のみなさんへ
はじめに ヴィンテージ・ブックス版(2022)
プロローグ
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
第7章
第8章
第9章
第10章
第11章
第12章
第13章
第14章
第15章
第16章
第17章
第18章
第19章
第20章
第21章
第22章
第23章
第24章
第25章
第26章
第27章
エピローグ
謝辞
訳者あとがき
参考文献