訳者 / 斎藤真理子・浜辺ふう
発行 / 河出書房新社
2025年9月30日 初版発行
四六判 / 208頁
血縁という地獄をサバイブしてきた。母は狂女になるしかなかったから、私もまた狂女に育った——。
日本と韓国を行き来し、自由を追求する唯一無二のアーティストによる、渾身のエッセイ集。
「死にたい時許せない時救われたい時、愛する人に会えなくなった時、私は死ぬまで何度もこの本を開くだろう。
——金原ひとみ」
お母さんは狂ってて、お父さんはサイテーで、おばあちゃんは二人とも精神を病み、親戚はみんな詐欺師。そんな家族のもと、幼い頃から泣くことも笑うこともできず、いつも世界でひとりぼっちだった私が始めたのは、感情に名前をつけること——。
1986年生まれ、日本と韓国を股にかけて活躍するミュージシャン・作家・エッセイスト・イラストレーター・映像作家のイ・ランによる、「これまでの家族」と「これからの家族」。日韓同時発売。
(河出書房新社のサイトより)
十八歳で家を出たときにまず思いきりやったのは「大声で泣くこと」だった。家族と一緒の家では大声を出すこと自体がタブーで、泣くのはもっといけないことだったから、ずーっとにせものの笑いを浮かべて暮らさなければならない家を出られたのは本当に嬉しかった。一日じゅう無表情でいてもいいんだから、最高だった。でも泣きたいときに泣いてみると、本当に大声で泣くのはどこにいても難しいということもわかった。たまに本当に大声で泣ける空間を見つけたら、チャンスを逃さず大声で泣いた
——体が記憶している場面たち / p13より
深い愛と冷徹な理性と昔からの憂鬱さが一緒に存在しているのを感じる。そして、こういうことの全部をお姉ちゃんに話したい。私たちは、愛されなかったせいで愛を知らないんだよねと言い合う姉妹だった。お姉ちゃんがいなくなった後で私には強烈に欲しいものができた、だからすごく辛くて苦しいけどすばらしいことを学んでいる、とお姉ちゃんにすごく言いたい。こうやって書くことで、何となくお姉ちゃんに伝わる気がする。
——私の愛と死の日記 / p117より
ジュンイチはイ・ランに言った。
「ご飯をちゃんと食べて。ご飯を食べると力が出るでしょ」
——ジュンイチからイ・ランへ / p194より
[目次]
体が記憶している場面たち
母と娘たちの狂女の歴史
本でぶたれて育ち、本を書く
お姉ちゃんを探して——イ・スル(1983.11.03 〜2021.12.10)
三つの死と三つの愛
ダイヤモンドになってしまったお姉ちゃん
お姉ちゃんの長女病
ランは早死にしそう
私の愛と死の日記
すべての人生がドラァグだ
お姉ちゃんの車です
死を愛するのをやめようか
今は今の愚かさで
あなたと私の一日
この体で生きていることがすべて
1から不思議を生きてみる
イ・ランからジュンイチへ
ジュンイチからイ・ランへ
確かな愛をありがとう