発行 / 講談社
2022年7月19日 第1刷発行
四六判 / 160頁
いま、あなたとの会話で起きたことは、
いったい何だろう?
マンスプレイニング、コミュニケーション的暴力、会話の引き出し、言語的なポリティクス、アイデンティティと一人称、人々をつなげる言葉、誠実な謝罪と不誠実な謝罪……。難しくて切実で面白い「言葉とコミュニケーション」を、「哲学」と「私」のあいだのリアルな言葉で綴るエッセイ。
(講談社のサイトより)
「夕方から雨らしいよ」と言うだけで、傘については何も言っていないのに<傘を持っていったほうがいい>と伝えることができるのはどうしてだろう?自分の心のなかを「はい、どうぞ」と見せることはできなくて、だから他人が私の心についてわかることなんて何ひとつないはずなのに、それでも「楽しい」とか「悲しい」とかといった言葉で自分の心の話を他人にすることができるのはどうしてだろう?
——はじめに / p2より
言葉から滲み出るものというのがある。感情や人柄の話ではない。そのひとがどのようなことにコミットし、どのようなコミュニティのなかで発言をしているのかについての話だ。一見すると単なる言葉の話にすぎないようで、その実、重要な政治的立ち位置に関わっているような。
——ちょっとした言葉に透けて見えるもの / p34より
ところでこのイベント中の会話で、とても印象に残ったことがある。それは、松岡さんが「アウティング」という言葉に対して取っているとても繊細なスタンスだ。松岡さんは、この言葉が性的マイノリティの置かれた特有の(つまり、マジョリティならば経験しない)状況や困難を表現するものだという点を大事にし、それがマジョリティにとって使いやすい言葉に変質することへの警戒を示していた。
——ブラックホールと扉 / p140より
[目次]
はじめに
プロローグ
コミュニケーション的暴力としての、意味の占有
そういうわけなので、呼ばなくて構いません
ちょっとした言葉に透けて見えるもの
張り紙の駆け引き、そしてマンスプレイニング
言葉の空白地帯
すだちかレモンか
哲学と私のあいだで
会話の引き出し
「私」のいない言葉
心にない言葉
大きな傘の下で会いましょう
謝罪の懐疑論
ブラックホールと扉
おわりに