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発行 / hayaoki books
2023年3月13日 初版第1刷発行
B6判 / 154頁
家族の食卓、上京した朝、あの夏の恋——。
レコーダーを再生するように記憶が溢れ出す。
糸井重里氏、麒麟・川島明氏推薦。
人の心の機微やノスタルジーを繊細に描く文章に定評があり、Webメディアを中心に人気を集めるエッセイスト 中前結花の初エッセイ集です。
書き下ろしを含む14篇を収録。装画、挿絵はイラストレーターの北村人氏が担当しています。
(hayaoki booksのサイトより)
物件探しをしていて、下見したひとつの物件を断った。
ただそれだけなのに、不安でひたひたになっていた母と娘の心を「東京でも、なんとかやっていけるかもしれない」とポッとあたたかい火が乾かしてくれるような出来事だった。
新家さんは、向き合う正面には立たず、隣にそっと立ってくれるようなひとだった。わたしもこんなふうに仕事がしたい、本当に本当にそう思う。
わたしの心のなかには今も、一度しか会ったことのない「新家さん」に住んでもらっている。何年経っても、わたしはこの夜のロッテリアでの出来事をずっとずっと忘れない。
——「ぼく、賛成です」 / p23より
ひとりで暮らすようになっても本棚は溢れかえり、わたしの財布はいつもさみしい。
「困った、読みきれない……」
いつもため息をついている。なにせ、遅読家なのだ。それでも、わたしの本を買う癖は止まらない。
(…)
けれども少なくとも、本を買うときの「これを、わたしは読むんだ」という約束が、跳ねるようなうれしさをくれたこと、どうにもうまくいかない日の支えになってくれたことも、たしかにあった。買っただけでこんなに幸せになれるんだもの。やっぱり、本は尊いものなんだと改めてわたしは思う。本は、約束。本は、未来。
——ここは下北沢 / p87より
それからも、「暗いなかで、光が差すような出来事」というのを、わたしは人生で何度か経験しました。そしてそのどれもがやっぱり「文章を書くこと」によって生まれた瞬間ばかりだったように思います。
——おわりに / p150より
[目次]
はじめに
「ぼく、賛成です」
赤に光る回鍋肉
わたしのタイプライター
踊るほっぺ
ミイラの朝
真夜中はヒーロー
プールの底で考え中
ここは下北沢
宇宙のカレ
ラジオのスター
ホワイトアスパラふたつ
ベンッ
お住まいはどちら?
好きよ、トウモロコシ。
おわりに