著者 / ナカムラリオ・木岡さい・小林みづき
バブルネック戸張涼・野口理恵
発行 / 中村真凜
2024年12月1日 第一刷発行
B6判 / 118頁
会ったことのない知らない誰かの日々を想う
五つの都市で生きる五人が過ごした、ある同じ一日
遠く離れた誰かの日常について
この星に暮らす五人の筆者によるアンソロジー
(発行者のInstagram投稿より)
氷の礫を吸い込んだような呼吸だとか、幕が上がる前のようなぼやけた薄暗さだとかにまだ胸をときめかせていた頃のある朝、私たちは海へと歩いていた。朝日なんて見えそうにない空の下、朝日を見るために歩いていた。カイロの代わりに買ったコーヒーのカップは一瞬で温度をなくして、むしろそれを持つ指先を風に晒して冷やしている。
——朝もやに光 / p8より
「楽しい仕事」をするためには、社会を知らなくてはいけない。自分の欲望と社会が結びついていないと、独りよがりの仕事になってしまう。仕事の大小はさまざまだが、私は自分でやりたいことを実現するために会社を起業し、重たい責任を好んで背負い、好きな仕事で稼いだ金で、好きなことをしている。世間から見たらお気楽な道楽に見えるかもしれないが、この小さな商いが、誰かの人生に寄り添えたらそれでいい。なんて、きれいごとを言っても説得力はないから、結局は「良い仕事」を続けていくしかない。
冬が明けるとまた忙しくなる。その前に、猫でしっかり暖を取ってから、今日は少し多めに眠ることにする。
——朝、虎ノ門で仕事を終える / p53より
緑の大地のずっと向こう。
ずっと向こうの会ったことのない誰か。
会ったことのない知らない誰かの日々を想う。
この星に暮らす、あなたの日々を愛おしく思います。
この星に暮らす、私の日々もあなたに愛おしく思われますように。
——10.11 AM.6:00 / p118より
[目次]
12.04 AM.8:00
朝もやに光(コペンハーゲン / ナカムラリオ)
ゆきずりの曲がり角(グルト / 木岡さい)
淡い風景(ミラノ / 小林みづき)
父を見送ったあの冬の記憶
(サンディエゴ / バブルネック戸張涼)
朝、虎ノ門で仕事を終える(東京 / 野口理恵)
07.15 PM.9:00
光る季節の端っこを(コペンハーゲン / ナカムラリオ)
昨日、路上で(グルト / 木岡さい)
ずっとまっすぐ(ミラノ / 小林みづき)
夏の居候くん(サンディエゴ / バブルネック戸張涼)
夜、空を見上げる(東京 / 野口理恵)