著者 / 岡真理・小山哲・藤原辰史
発行 / ミシマ社
2024年7月23日 初版第1刷発行
四六判 / 224頁
この本から、始まる
新しい世界史=「生きるための世界史」
あらゆる人が戦争と自分を結びつけ、歴史に出会い直すために。アラブ、ポーランド、ドイツを専門とする三人の対話からはじめて浮かび上がる「パレスチナ問題」。
世界史は書き直されなければならない。
岡「今、必要としているのは、近代500年の歴史を通して形成された『歴史の地脈』によって、この現代世界を理解するための『グローバル・ヒストリー』です」
小山「西洋史研究者の自分はなぜ、ヨーロッパの問題であるパレスチナの問題を、研究領域の外にあるかのように感じてしまっていたのか」
藤原「力を振るってきた側ではなく、力を振るわれてきた側の目線から書かれた世界史が存在しなかったことが、強国の横暴を拡大させたひとつの要因であるならば、現状に対する人文学者の責任もとても重いのです」
(ミシマ社のサイトより)
「平和」とはなんでしょうか?軍事的な攻撃さえなければ、平和なのでしょうか?本当の平和とは、パレスチナの地に暮らす人びとが自分の人生と自分のあり方を自ら決定し、人間らしく、自由に、平等に、尊厳をもって生きることができるようになることではないでしょうか。
そうであれば、たんにジェノサイドが終るだけでは不十分です。私たちは、パレスチナ人から自由と尊厳を奪っている問題の根源にこそ、目を向けなければなりません。
—— Ⅰ 私たちの問題としてのパレスチナ問題 / p28より
非常に人為的に線が引かれ、その線のこちら側は「我々」で、あちら側は「彼ら」で、彼らは我々と違う、という捉え方が世界中にあって、みんなが「自分たちは彼らとは違う」と言うんだけれど、その言い方は同じ、という奇妙な世界がつくられています。
線を引いて向こう側にいる人たちを敵とみなすということ自体が、私たちが向きあわなきゃならない本当の敵なんじゃないか。根本的に考え方を変える必要があるんじゃないかと、埴谷は問いかけているように思います。
—— Ⅱ 小さなひとりの歴史から考える / p124より
第二次世界大戦が終わったあと、ドイツや日本はある意味で軍国主義から少し離れたように見えるけれど、日本の自衛隊の軍事力ランキングは世界七位でイスラエルよりも上ですし、ドイツはイスラエルとのあいだで軍事力を売り買いして儲けています。アウシュヴィッツに関わった企業も、もちろんほとんどがニュンベルク裁判で裁かれましたが、ではその後、暴力によって被害を受ける人たちを犠牲にすることで利益を得てこなかったか、という問いは、依然として残っています。
—— Ⅲ 鼎談 「本当の意味での世界史」を学ぶために
/ p202より
[目次]
はじめに(岡真理)
Ⅰ 私たちの問題としてのパレスチナ問題
Ⅱ 小さなひとりの歴史から考える
Ⅲ 鼎談 「本当の意味での世界史」を学ぶために
おわりに(小山哲)
本書成立の経緯(藤原辰史)