発行 / 岩波書店
1981年11月20日 第1刷発行
新書判 / 234頁
プルトニウムは、原子番号94番の元素で、自然界には存在せず、人工的にのみ合成される。その一族プルトニウム239は半減期2万4100年の猛毒の放射性物質で、原子力発電の副産物としてできる。「人類の夢をかなえる元素」とも「悪魔の元素」ともよばれるプルトニウムにまつわる話を、巨大科学技術の問題とかかわらせながら語る。
(カバーそでの紹介文より)
これらの安全論争とは別に、より社会的な側面をもった問題もある。安全性の問題は別にしても、はたして原子力は、エネルギー技術として生産性と経済性をもっているのだろうか。富と力と知の集中を必要とする原子力社会は、極度に中央集権化し、地域社会を破壊しないだろうか。核の軍事利用(核兵器)と商業利用(原子力発電)は、切り離せるのだろうか。……そして、原子力発電所のような巨大施設を増やし、エネルギー消費を増大させ続けることが、本当に私たちの幸福につながるのだろうか……
——第2章 原子力発電 / p37より
しかし、私たち人間が確実にカバーできるのは、プルトニウムに関わる時間的・量的な何十桁という幅の中のごく一部、ほんの数桁の範囲ではないだろうか。それ故に、「人類はプルトニウムと共存できるか」の問いが発せられるのである。この壁を越えようとするとき、社会は極端な管理社会へと突き進むしかない。これは、遠い将来のことではなく、進行形の事柄である。
——第4章 核文明のジレンマ / p141より
[目次]
第一章 パンドラの筐は開かれた
第二章 原子力発電
第三章 核燃料はめぐる
第四章 核文明のジレンマ
第五章 不死鳥かバベルの塔か
第六章 ホモ・アトミクス
第七章 未来への一視点
あとがき