著者 / 北原モコットゥナシ
漫画 / 田房永子
発行 / 303BOOKS
2023年12月12日 初版発行
四六判 / 180頁
漫画『ゴールデンカムイ』の監修にも参加!
北原モコットゥナシがアイヌをとりまく
もやもやを丁寧に解説
日本の民族的マイノリティであるアイヌ。北海道が舞台のドラマでもその姿を目にすることはめったになく、教科書に載っているのも民族衣装を着た姿ばかり。
非アイヌにとって、今を生きるアイヌの姿は、まるで厚い「もや」の向こう側にあるかのようです。
アイヌは、どんなことに「もやもや」を感じているのか? その「もやもや」はどこから来るのか? 無知・無理解や差別の構造、そしてマイノリティとマジョリティの関係など、北原モコットゥナシが様々な視点から考察してゆきます。
(303BOOKSのサイトより)
差別を知ることは大切です。差別を知らないままにしておくことが、差別を生き永らえさせるからです。残念ながら現実に差別がある以上、差別を知ることで身を守る、差別をしてしまわないように備えるという選択をせざるを得ません。「わざわざ差別について語ることが寝た子を起こす=差別を誘発する」という批判があります。これは、「今は差別はないのに」と言っているわけで、差別にあまり影響を受けず、知らぬふりでやり過ごしていられる人の感想です。差別を受ける人は、差別の存在を実感していますし、いつ自分や大切な人に差別が起こるかを考えずにはいられないのです。
——第2章 差別・ステレオタイプ / p48より
意見の内容ではなく口調や言葉選びを問題視することをトーンポリシングといいます。トーンポリシングによって、結果として論点がずれ、何の話をしているのかがウヤムヤになってしまいます。
マイノリティはバッシングを受ける事に慣らされているのに対し、マジョリティはとても打たれ弱いというか、批判されることにとても繊細で、しばしば感情を爆発させてしまいます。アメリカでは、ヨーロッパ系の人が持つこうした特質を「ホワイト・フラジリティ(白人の脆弱さ)」と表現する研究があります。
——第3章 アイデンティティ 私らしさとアイヌらしさ / p112より
現代の人々の多くは占領に直接関与したわけではないものの、支配や占領から利益を得て作られた社会に暮らしていること、支配が今日も続いていることと無関係ではありません。無関心でいることはできても無関係でいることはできないのです。
——第4章 マジョリティの優位性 / p141より
[目次]
はじめに
登場人物紹介
第1章 言い出しにくいんです
漫画 自分のルーツ
解説1 「知らない」って結構傷つきます
漫画 「〇〇に会ったことがない」と思う理由
解説2 日本人?和民族?アイヌ?
漫画 「〇〇ってそーゆーとこある」
解説3 「見ればわかる」という決めつけ
漫画 「日本男児」、サイコー!?
解説4 「日本スゴイ」アタック
資料1 本州から北で暮らしてきた、多様な民族
第2章 差別・ステレオタイプ
漫画 「ワタシ、差別をしない人間です!」
解説5 社会の仕組みと差別の関係
漫画 体毛と私のアイデンティティの話
解説6 体毛、ルッキズム、そして差別
漫画 マーくんの勇気
解説7 「無意識」と差別の間に
漫画 マーくん、本音を話す
解説8 差別の構造
資料2 統計から見る、差別と格差の現在
第3章 アイデンティティ 私らしさとアイヌらしさ
漫画 それはある日、突然に
解説9 アイデンティティの喪失
漫画 自分のルーツ、アイデンティティ
解説10 「本当のアイヌ」とは?
漫画 達也、言葉を失う
解説11 クソバイス/トーンポリシング
漫画 マイノリティを理解する
解説12 マジョリティは名前を持たない
資料3 差別の土台は目に見えないところにある
第4章 マジョリティの優位性
漫画 自分の名前を知らないマジョリティ
解説13 和民族って私?
漫画 「当たり前」が当たり前じゃない世界で
解説14 マジョリティが優位とは
漫画 勇気を出して、そのひと言を
解説15 マジョリティはどうすればいいのか
漫画 救いになるもの
解説16 差別に抗するインフラ
北原モコットゥナシ×田房永子 特別対談
これまでのできごと年表
参考文献