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発行 / 筑摩書房
2024年7月10日 第一刷発行
A6判 / 320頁
「私たち女性は、すべてを手に入れたいのです」
二人の小さな子どもと移住した社会学者による、おもしろくてためになる、フィンランドからの現地レポート。
(筑摩書房のサイトより)
鍵をもらいに行ったとき、私は「社宅があるなら、最初にそう言ってくださいよ……めっちゃ困ってたんですよ……」と言った。すると、担当の人は「大変でしたね。でも、困っているなら困っているとおっしゃってください。そうでなければ、私たちはあなたを助けることもできません」と言った。
そりゃそうだ。私はなんでも自分でやろうとするところに自信を持っていた。なんでも自分で判断し、自分で考え、可能なかぎり自分でがんばるのが、自分のいいところだと思っていた。今回は、この思い込みと行動の癖が裏目に出た。
——1 未知の旅へ / p34より
ユキに限らず、ここの保育園に通っている子どもたちの持つさまざまなスキルは、別に肯定されているわけでもないし否定されているわけでもない。練習の必要なことと、必要でないことがある。その項目も、必要さの程度も、そのうち変わるだろう。
——4 技術の問題 / p122より
ついこの前、ユキはお風呂で質問した。
「このままユキが、日本とフィンランドを行ったり来たりしながら大きくなったら、ユキはなにじんってことになるの?」
「誰が何者になるかは、その場の状況によって決まる」
またしても、私としては正確に答えたつもりだったけど、ユキにとっては意味がわからなかったかもしれない。ユキはしばらく考えて、思いついたような表情をして、得意げに答えた。
「わかった、フィンランドと日本の間やから、ロシア人やな!」
そうきたか。
いいよ、それで。
——8 ロシア人 / p252より
[目次]
はじめに
1 未知の旅へ——ヘルシンキ到着
2 VIP待遇——非常事態宣言下の生活と保育園
コラム1 ヘルシンキ市の公共交通機関と子ども車両
3 畑の真ん中——保育園での教育・その1
4 技術の問題——保育園での教育・その2
5 母親をする——子育て支援と母性
コラム2 社会とクラブと習い事
6 「いい学校」——小学校の入学手続き
7 チャイコフスキーと博物館
——日本とフィンランドの戦争認識
コラム3 マイナンバーと国家への信頼
8 ロシア人——移民・移住とフィンランド
コラム4 小学校入学
おわりに
文庫版あとがき
解説(坂上香)
注