発行 / KADOKAWA
2022年8月25日 初版発行
A5判 / 152頁
美味しい“読書”、召し上がれ
森茉莉の書く“シュウクリイム”、
内田百閒の書く“おかうこ”、
村上春樹の書く“オムレツ”
森見登美彦の書く“お酒” etc……
古今東西の名作に登場する美味しそうな食べものを、
食いしん坊の作者独自の目線で語るコミックエッセイ。
遠い存在だった文豪や、物語の登場人物たちが、いつの間にか身近に感じられる名作レビューエッセイです。
(KADOKAWAのサイトより)
私の日記には
読んだ本の好きなフレーズが
メモしてあります
(…)
8月9日(日)
「おかうこ、かりかり、お茶漬さぶさぶ」
——第2話 内田百閒といただく“おかうこ” / p20より
「ナルニア国物語」を15~16年ぶりに読んでみて、登場人物たちの個性と、本当にそこに存在しているかのような血の通った会話に驚きました。
英語の教科書や参考書に出てくる一人称の和訳といえば、「私」か「僕」の2種。二人称も「あなた」か「君」だけなのに、この本には「ぼく」「わたし」の他、「おれ」「わし」「わらわ」などが登場。二人称も「あんた」「おまえ」「あなたさま」、果ては「きさま」まで、実に多様でした。
同じ“I”や“You”でも、登場人物ひとりひとりの声を聞き、個性を見出し、ふさわしいものを割り当てていく。それはどう考えても事務的な作業などではなく、原文と心を重ねなければできないことだと思います。
——コラム 血の通った翻訳 / p78より
舌で直接味わっているはずのコロッケサンドの味が、どうしても平松さんの文章と、それを読んだ当時の追体験に上書きされていくのです。本物の味覚と想像上の味覚が混ざり合ってしまうような、どちらを味わっているのかわからないような、不思議な感覚のまま食べ終えてしまいました。
文章上の味覚体験は、時に本物の味覚体験を沈黙させてしまうほどの力を持つのですね……。恐るべし……。
——コラム 平松さんのご相伴に / p115より
[目次]
はじめに
第1話 森茉莉といただく“シュウクリイム”
コラム 耽美なだけじゃない森茉莉
第2話 内田百閒といただく“おかうこ”
コラム 頑固で偏屈でお茶目な百閒
第3話 村上春樹さんといただく“オムレツ”
コラム 村上さんのエッセイしか知らない
第4話 黒髪の乙女といただく“お酒”
コラム 森見登美彦さんとの妙な思い出
第5話 石井好子といただく“失敗料理”
コラム 海も時代も超える、マダムのオムレツ
第6話 ナルニア国でいただく“プリン”
コラム 血の通った翻訳
第7話 角田光代さんといただく“苦手だった食べもの”
コラム ここに連れてきてくれた人
第8話 堀井和子さんといただく“ブレックファースト”
コラム 詩のような朝食
第9話 平松洋子さんといただく“果物”
コラム 平松さんのご相伴に
第10話 水上勉といただく“梅干し”
コラム 五郎と自然食、宮田と精進料理
新コミックエッセイプチ大賞受賞作 「日々郷愁」
おわりに
参考文献・索引