発行 / 講談社
2023年4月11日 第一刷発行
四六判 / 256頁
文化人類学ってどんな学問?
黎明期の先駆者たちから、ラトゥール、インゴルド、グレーバーまで。繰り返されてきたパラダイム・シフト(=転回)と研究者たちの「格闘」の跡をたどり、現在地を探る。
6つのテーマ(人間の差異、他者理解、経済行動、秩序、自然と宗教、病と医療)を取り上げ、ぐるぐるめぐり歩きながら考える、文化人類学の新しい入門書。
(講談社のサイトより)
私たちはいったいどんな世界をつくりだそうとし、現実にどう世界を変えてきてしまったのか。それは、人類学という一学問に限らず、いまの時代を生きるすべての人にとって切実な問いである。人類学の一筋縄ではいかない旋回の軌跡をたどりなおす過程は、その問いへの向き合い方がいくつもありうることを確認していく作業でもある。
多様な差異にあふれたこの世界で、ともに生きていくとはどういうことなのか。人間とはどんな存在なのか。秩序ある調和のとれた世界がいかに可能なのか。(…)本書であらためて人類学の歴史をひもとくのは、いま私たちが「答え」を必要としている課題へのさまざまな「問い方」の可能性を学ぶためである。
——はじめに / p4より
人間の本性は文化をこえて共通しているのか、それとも文化によって多様なあらわれ方をするのか。経済学が前提とする経済合理的な人間像は、普遍的な人間の本性なのか、市場経済化した近代社会にだけ特有のものなのか。こうした論点が、20世紀後半の人類学における大きな争点になっていく。
——3章 人間の本性とは? / p87より
人類学とは何か。それをうまく説明できないのは、それぞれの人類学者がみずからの人類学を実践してきたからである。こんな学問だという定義にそって研究しているわけではない。時代状況のなかで、あるべき姿を模索しながら手探りで進んできた。何のために研究するのか、どんな研究に意義があるのか。おそらく学問にたずさわる者ならつねに自問をくり返しているはずだ。この本を書くことが、私なりにその問いに向き合う機会でもあった。
——おわりに / p237より
[目次]
はじめに
1章 人間の差異との格闘
1 「差異」を問う
2 構造のとらえ方
3 未開と近代
2章 他者理解はいかに可能か
1 他者理解の方法
2 揺らぐフィールドワーク
3 存在論へ
3章 人間の本性とは?
1 社会から個人へ
2 形式主義と実体主義
3 近代への問い
4章 秩序のつくり方
1 法と政治の起源
2 国家と政治
3 国家なき社会
5章 自然と神々の力
1 宗教とアニミズム
2 神の概念
3 自然と人間
6章 病むこと、癒やすこと
1 災いの原因
2 医療人類学の地平
3 ケアの視点
7章 現在地を見定める
1 二分法を問い直す
2 変革と実践の学問へ
おわりに
註