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著者 / 上坂あゆ美・岡本真帆
発行 / ナナロク社
2023年2月17日 初版第1刷発行
B6変 / 160頁
「歌集副読本」とは歌集を味わい尽くすための助けとなる読みものです。 2つの出版社(書肆侃侃房とナナロク社)の2022年の話題の歌集2冊の著者が、互いの歌集の魅力について、愛情こめて書き合いました。
(ナナロク社のサイトより)
「歌集副読本」という言葉は辞書にありませんが、ある歌集を味わい尽くすための助けとなる読みもの、として名づけました。
本書では、昨年春にそれぞれ第一歌集を刊行した二人の歌人に、お互いが相手の歌集をどう読みどう感じたかを書いていただきました。
巻末には二人の新作短歌とエッセイも収録しています。
短歌について語り合える、友人のような一冊となることを願って本にしました。
2023年2月 出版者
——はじめに / p1より
いい歌には加害性があると思う。その歌を読む前と読んだあとで、読み手の世界を変えてしまうものだからだ。普段私は、できるだけ鋭くナイフを研ぐようなイメージで、または最高速度の矢を放つために弓を引くイメージで、あるいはバズーカに巨大な弾を込めるようなイメージで、短歌をつくってきた。
しかし岡本真帆の歌は、加害というにはあまりにあたたかい。こういうタイプの加害性があるのかと驚く。それは「北風と太陽」の太陽みたいに、ぽかぽかと心地よく、私たちは気づいたら服を脱いでしまう。
——上坂あゆ美が『水上バス浅草行き』を読む / p18より
多くの歌集は、そのタイトルが短歌や連作タイトルから引用されている。しかしこの歌集はそうではない。『老人ホームで死ぬほどモテたい』という奇抜なタイトルの意味は、あとがきの最後で初めて明かされる。
「いつか老人ホームに入るころには、わたしの中の全てのわたしから、死ぬほどモテたい。手放しで称賛せざるを得ないような、かっこいいわたしになるのだ。」
読者はこの一文を読むことで初めて、歌集を通して元気や勇気をもらっていた理由に気づく。わたしの中の全てのわたしから手放しで称賛されるには、過去の全てのわたしを愛する強さが必要だ。上坂さんの短歌は、過去の自分の全てを肯定するようなおおらかさと強さがある。そしてそういう歌が、『老モテ』には散りばめられている。
——岡本真帆が『老人ホームで死ぬほどモテたい』を読む
/ p62より
[目次]
はじめに
著者紹介
上坂あゆ美が『水上バス浅草行き』を読む
岡本真帆が『老人ホームで死ぬほどモテたい』を読む
巻末作品
上坂あゆ美の短歌とエッセイ
短歌「罪と蟻の巣」
エッセイ「でこぼこな信念」
岡本真帆の短歌とエッセイ
短歌「あかるい花束」
エッセイ「短歌のけもの道」