編者 / 朝日新聞出版
発行 / 朝日新聞出版
2025年1月30日 第1刷発行
四六判 / 208頁
ロイヤルホストを愛する書き手17人が集った、エッセイアンソロジー!ここでしか食べられない料理メニュー、来店の度に心地よさを覚えるサービスで多くのファンがいるロイヤルホスト。そんな特別な場での一人ひとりの記憶を味わえる一冊。
【執筆者(50音順、敬称略)】
青木さやか/朝井リョウ/朝比奈秋/稲田俊輔/上坂あゆ美/宇垣美里/織守きょうや/温又柔/古賀及子/高橋ユキ/似鳥鶏/能町みね子/平野紗季子/ブレイディみかこ/宮島未奈/村瀬秀信/柚木麻子
(朝日新聞出版のサイトより)
酔狂にも、わざわざ夜の家から自転車を漕ぎ出してロイヤルホストを見るためだけに出かけるようになったのは、アルバイトをやめてから何年もあとのことだ。ふたり子どもを産んで、まだ小さな彼らの世話で手がいっぱいの頃だった。
夜になって、子どもたちが寝て、自分ももう眠って明日に備えたいのだけど、ちょっとだけあのときの私は悔しかった。今日も子どもたちを見守って生かすことができて、会社の仕事もなんとかまとめた。十分だけど、なんだかそれだけじゃちょっと悔しい。あまりいろいろ考えるつもりも気力もなくて、でも体だけは妙に動けた。(…)
子どもたちと夕食はすませたあとだから、ただ行ってながめて帰って、帰ったら寝た。ただの趣味として可笑しなことをしているのが、ちょっと誇らしかった。
——ねえ、夜のロイヤルホストを見に行こう / p59より
ロイヤルホストは大好きではあったけど、何かと比較してあの店よりも好きということはなく、唯一無二の「大好き」だった。デニーズよりすかいらーくより好き、マクドナルドより好き、みたいなことはない。なぜなら、ないからである。知らないし、行ったこともないからである。ロイヤルホストはファミレスではなかった。外食チェーンでもなかった。ロイヤルホストはロイヤルホストでしかなかった。
——夢も現実もある / p102より
私は昔から、なんの説明もなく、目的も見えない、不思議なお金や時間のかけられ方をしているものや場所が大好きである。(…)
別に頑張らなくて済むところを全力で丁寧にやる(…)。当たり前に万人に開かれているところで繰り出される高いスキルとサービス。溢れ出る美意識、魂のエレガンス、贅沢さ、あとほんのちょっぴりのおかしみ——。あまりにも惜しみなく無料だったりするので、いつの間にか当たり前みたいになってしまうそれらを、私はロマンスのインフラと名付けたい。格差と不景気でロマンスのインフラが減りつつある、この国の最後の砦がロイヤルホストだと思っている。
——ロマンスのインフラ / p156より
[目次]
第1章 はじめては
褪せない夢(平野紗季子)
ロイホに住みたい(宇垣美里)
未知のおいしさに出会える場所(稲田俊輔)
家族レストラン(ブレイディみかこ)
パラティー1杯目「天神西通り店の朝食ビュッフェ」
(高橋ユキ)
第2章 あこがれて
ねえ、夜のロイヤルホストを見に行こう(古賀及子)
石坂線と神楽坂(宮島未奈)
ロイホがロイホであるために(村瀬秀信)
サザエさんはパーを出してる来週が来ない人にも
来るわたしにも(上坂あゆ美)
パラティー2杯目「雑談はずむ神楽坂店」(高橋ユキ)
第3章 いつもの
夢も現実もある(能町みね子)
ロイヤルホスト慕情(織守きょうや)
ロイヤルホストと勤務医時代(朝比奈秋)
ここが最高の定位置(青木さやか)
パラティー3杯目「八丁堀店の定例会」(高橋ユキ)
第4章 とくべつな
幸せな記憶を、またロイヤルホストで(温又柔)
ロマンスのインフラ(柚木麻子)
細部の魔法(似鳥鶏)
クイズ★どこの店舗でしょ~か⁉(朝井リョウ)
パラティー4杯目「働く仲間との夜ごはんは
神田神保町店で」(高橋ユキ)
特別鼎談 藤井隆×近藤春菜×箕輪はるか