編集 / 月と文社
発行 / 月と文社
2024年12月11日 第1版第1刷発行
新書判 / 280頁
「こじらせている」と自覚する男性たちの
「安定のレール」に乗らない生存戦略とは?
「どこへ行ってもやっていけない気がした」「人と同じことをするのがいやだった」「自分を理解されてたまるか、と思っていた」——。元ニート、ミニマリスト、芸人、ひとり出版社経営者など、「主流」から逸脱し、振り切った生き方をしてきた30~50代の男性6人が登場。「何者かになるとは」から「オタクであること」まで、彼らならではの自意識との向き合い方や、世の中へのまなざしに触れる濃厚インタビュー集。
<本書に登場する男性たち>
〇島田潤一郎
ひとり出版社「夏葉社」代表。不器用な生き方を綴った『あしたから出版社』がロングセラー
〇pha
元“日本一有名なニート”。近著『パーティーが終わって、中年が始まる』が大ヒット中
〇佐々木典士
ミニマリスト。『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』が世界累計80万部突破のベストセラーに
〇ファビアン
芸人。吉本興業の第一芸人文芸部で活動。著書はショートショート小説『きょうも芸の夢をみる』
〇田中 弦
Unipos社長CEO。「人的資本開示のマニアック報告会」で上場企業経営者が大注目する異色の起業家
〇下平尾 直
ひとり出版社「共和国」代表。文化批判的な書物を圧倒的な熱量で刊行する、存在感際立つ版元
(月と文社のサイトより)
登場する方々の社会的・経済的な「成功」に対する自己満足の度合いはさまざまです。どうすれば「成功」するのかを導き出すことが目的ではありません。本書を通じて彼らの思いに触れることで、読んでくださった方が消化しきれていなかった潜在的な思いを言語化できたり、気づきを得られたりするのではないかと考えています。
——はじめに / p8より
子どもが学校に行きにくくなってるのは、明らかにコミュニケーション能力っていうものが社会のなかで重要で、強いから。会議でしゃべらない人間は価値がないわけですよね。でもそうじゃないと思う。会社でしゃべらなくても、ひとりでずっとごはん食べて、仲いい同僚がひとりもいなくても別にいいじゃないかと思うけど、そういうものを尊重するような動きはないですよね。『サイボーグ009』みたいに9人が違う強みを持ってひとつのチームとなるっていうのが多様性だといわれてるけど、実際はそうじゃない。何もできないっていうのもひとつの価値であるはずなのに、あなたは何もできない代わりに何かひとつ突出したもの、たとえば何か素晴らしい芸術的なものはないのとか、ずっと言われてるような気がする。それがいま言われてる社会の多様性ですよ。
——立派な人みたいに思われることもあるけど、基本はしょうもない人間なので。(島田潤一郎) / p54より
逆にいえば、政治的なことも含めて、いまの社会や現実ではない社会や現実をどうやって実現させるかですよね。百歩譲ってイデオロギーを抜きに客観的に考えても、いまの日本の政治社会経済はもうどうしようもないじゃないですか。そういうことを批判するにせよ、じゃあ自分はどういう政治や社会や経済が理想なのかということは、いろんな角度から考えてみないと。それには小説やルポルタージュを読んでみるとか、哲学思想でも自然科学でもアートでもなんでもいいですけど、とにかく読んで、そこからできるだけ具体的な次の一歩につながれば、というのが理想ですね。
——最近は達観してきたというか、批判でもなんでもご自由に、こちらは自分を笑いながらやってます、という感じかな。(下平尾 直) / p260より
[目次]
はじめに
立派な人みたいに思われることもあるけど、基本はしょうもない人間なので。(島田潤一郎)
「俗な自分」を肯定する/「スター」を見ていたい/都市とトレンドと本/時間をかければ恋愛もできる/中1から人生やり直したい/埼玉を毎週歩いてみる/わからないものをわざわざ読む/いまは認められてるような気がするだけ
人からの評価はその人がそう思いたいだけであって、たまたまだよね、と思ってしまう。(pha)
どこへ行ってもやっていけない気がした/カオスな状態を面白がっていた/人からの評価はどこか他人ごと/「恋愛っぽいこと」も書いてみた/「どうしようもなさのリアル」に共感する/役に立たないインターネットが好きだった/親と通じ合えなくても自己肯定感は持てた
モノを捨てまくったら「何者かふう」になれたけど、いまはどんどん普通になっていく。(佐々木典士)
「結婚できないですよね」と言われてきた/就活3年やって、自殺寸前に/「自分の言葉」を失っていく/中目黒に住んでもいいことなかった/おぞましいコメントばかりだったけど/できないことがあるほうが、人とつながれる/普通になっても「取り除けない性質」がある/「大金持ちになる道」は選ばなかった/ミニマリストがオワコンになろうが関係ない
強くありたいんです。テレビに出てくる人たち見てたら強い人に憧れるじゃないですか。(ファビアン)
自分の本名を知って「人生おもろー」と思った/東大を2回受験して、道に迷ってた/NSCを首席で卒業したけれど/「生きづらさ」の感覚がわからない/「おっさんになったウケそう」と言われるけど/この世を天国だと思いたい/「破天荒」にはなれないから
宇宙でぼくしかやらないようなことをひたすら寝ずにやってたら、「わらしべ長者きたぞ」ってなった。(田中 弦)
こじらせてるから、誰もやらないことができた/インターネットを「オタクの遊び」にしたくなかった/和民でバカな話をしてた奴らが上場企業の社長に/コロナで大打撃を受けて、特殊な道にたどり着いた/いまは「超高速わらしべ長者」の感覚/でこぼこなチームが優勝する話が好き/突出キャラでいたいから
最近は達観してきたというか、批判でもなんでもご自由に、こちらは自分を笑いながらやってます、という感じかな。(下平尾 直)
偏屈にこじれまくって/「底辺から」世の中が見えてきた/論文は書けても単位はゼロだった/難聴になったから、テレオペをやってみた/面接で2時間しゃべって、出版社に入社/本で社会は変えられなくても、頭の中は変えられる/獄中者から手紙が来た/見えない誰かが自分をつくってくれている/自分を阿呆にする精神を持っていたい