著者 / 熊谷晋一郎・上田紀行・隠岐さや香・山下範久・松原洋子・坂下史子・南川文里・小川さやか・美馬達哉・飯田豊・富永京子・瀧本和成・柳原恵・横田祐美子・北山晴一・新山陽子・大﨑智史・小寺未知留・加藤政洋・原口剛・熊澤大輔・田中裕二・山本貴光・坂上陽子・吉川浩満
編者 / 立命館大学教養教育センター
発行 / 晶文社
2022年9月10日 初版
A5判 / 454頁
出口治明さん推薦!
「唯一無二のわたしだけの「からだ」とわたしだけの「物語」、この2つを探求する旅は果てしなく広く深い」
差別ってなんだろう? 自分の“好き”を見つけるには? 経済乱世をどう生きる?
——自分のモヤモヤを問いに変え、他者とともに考えはじめたとき、自由な未来への扉がひらく。
第一線で活躍する専門家が集結、学問領域を越えて、自由に生きるための知性を語り尽くす。本書を読んだ一人ひとりに扉がひらかれることを願って——。
(晶文社のサイトより)
一方でやはり難しいと思うのは、今のような「すごいもの」という言葉遣い自体が、能力主義的な語りになっていることです。私自身、限界を感じるのはここです。これまで科学史を研究してきて、ニュートンは何をしたかとか、他とは違う業績について真っ先に考えるくせがついています。そのために、どうしても能力や才能を中心にした話し方になってしまいます。
ただ、科学史という狭い世界から見ていても、能力と見なされてこなかったものが能力になるということが明らかにあるんです。
——「能力主義」を超えるリベラルアーツ / p96より
このような「あらゆる行為を説明可能なものにせよ」という動きは、「リスクは管理できる」という思想とセットです。オーディット文化がどんどん進むと、人々は、客観的な基準によって自分で自分を点検・評価し、「他者へ開示せよ」と言われるようになる。「あなたらしくあれ」といった個性を称揚する一方で、「その結果としてどうなったのかを説明せよ」と言われる。自分がある行動をして、その行為の結果が社会に受け止められなかった時には、「自己責任だ」という話になるわけです。
——02 なぜ人はあいまいさを嫌うのか / p157より
私たちは、日々の生活を私的な欲求を充足させるために行って生きています。経済はその目的を達成するために、コントロールされるべきものなので、単なる手段に過ぎません。個々人の要求を充足させるための社会的な手段として経済を扱う必要があるのです。しかし、社会的なもの——経済もその一つですが——は、個々人の欲求と離れて勝手に独り歩きをしていき、私たちの生活とは無縁の存在となってしまうという性質を持っています。
——08 経済乱世を生きる / p346より
[目次]
はじめに(立命館大学教養教育センター)
【第1部】シンポジウム
01 基調講演 わたしを発見する知(熊谷晋一郎)
02 スピーチ リベラルアーツの現在・過去・未来
02-1 東工大リベラルアーツの挑戦(上田紀行)
02-2 文系と理系の歴史から考える、リベラル・アーツのこれから(隠岐さや香)
02-3 アジア発、“未来の共通言語”となる知とは(山下範久)
03 パネルディスカッション 「能力主義」を越えるリベラルアーツ(熊谷晋一郎×上田紀行×隠岐さや香×山下範久/モデレーター:松原洋子)
質疑応答 自由とはなにか?
注の引用・参照文献、ウェブサイト
【第2部】トークセッション
【パート1】社会を生きる
01 差別ってなんだろう?(坂下史子×南川文里)
02 なぜ人はあいまいさを嫌うのか(小川さやか×美馬達哉)
03 わたしの“モヤモヤ”大解剖(飯田豊×富永京子)
コラム1 〈自由〉な空間で生きる、学ぶということ(瀧本和成)
【パート2】人間を考える
04 人間関係のデモクラシー(柳原恵×横田祐美子)
05 食のミライ(北山晴一×新山陽子)
06 わたしの“好き”を見つける(大﨑智史×小寺未知留)
07 まちあるきのすゝめ(加藤政洋×原口剛)
08 経済乱世を生きる(熊澤大輔×田中祐二)
コラム2 自由に生きる知性とはなにか(田中祐二)
【パート3】学びを続ける
09 その相談、あの本なら、こう言うね。(瀧本和成×山本貴光×吉川浩満)
10 本を読む、ものを書く、編集する(坂上陽子×瀧本和成×山本貴光×吉川浩満)
おわりに(松原洋子)