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顔たち、犬たち / オカワダアキナ

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2023年11月11日 発行 B6判 / 184頁 よく聞けこれはおまえの話。おれの話。どっちでもいい。 ずるい男のずるい話。男性性の呪いの話。 家庭にも仕事にも不満はないが、ささやかな破滅願望を弄ぶようにこっそり男とセックスしている男。 歳下のボーイフレンドたちに振り回されながら、奇妙な友情を育み、セクシュアリティを自覚していく。 性的なふれあいにより解放されるもの、いたわりあうこと。 (著者のサイトより) おまえの父はおまえが生まれたときからずっと逃げ続けていた。おまえが生まれるとわかった瞬間からおまえを恐れ、忌避した。いやおまえを恐れたわけではないのかもしれない。子が生まれること、自分が人の親になることそれ自体におびえた。尻尾が丸まりぷるぷる震えた。父が犬ならば。 ——p17より 子どもがいない生活をずっとやっていると、子どもがいる人にちょっとぎょっとすることはあった。この人そうはいっても親なんだ。ああ自分とはちがう人たちだなと思う。勝手に。べつに何か特別なことを意識して子どもをもったわけではないという人がほとんどだろうけど、こっちは勝手に壁を感じてしまう。それはもしかしたら、結婚していない人が結婚している人へ感じる壁とおなじかもしれない。あるいはノンケの人に感じる壁? ——p123より でも今後性別を変更したらどうなるんだろう。いったん離婚しなくちゃなのか。おかしな制度だ。そんなものに何かを託していいのか。なんで結婚したいのとおまえはたずねそうになり口ごもる。なんでなんてほとんど考えずに自分たちは結婚したじゃないか。そうするのが当然みたいに、何も疑問をもたずに。じゃあおれには特権があるってことだ。おまえはとても気まずい気持ちになる。 ——p166より

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