発行 / twililight
2025年12月12日 初版第1刷発行
四六判 / 272頁
2010年よりパーソナルな語りとフィクションによる救いをテーマにしたzineを定期的に発行。2023年にはtwililightから初めてのエッセイ集『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』を刊行した翻訳・文筆家のきくちゆみこ。
今作『人とともにいることの、すさまじさとすばらしさ』は、あたらしく引っ越してきた郊外の団地で、長年苦手としてきた「人とともにいること」の学びと向き合う日々を綴った日記的自伝。
前作同様、twililight web magazineでの連載をまとめ、書籍化にあたって全12回に「アフター・トーク」を書き下ろしました。 装画は中島ミドリ、デザインは横山雄。
《推薦コメント》
植本一子 「ひとりではできないことを、人といなくてはできないことを経験するために生まれてきて。この世界には生きる価値があるのだと気づかせてくれる。」
安達茉莉子 「人といることは、本当は秘儀のよう。団地、高速道路、図書館、海——日記という形式から織られる物語の糸先は、私やあなたの織物にもつながっている。」
(版元のサイトより)
書くことは、わたしにとってはやっぱり孤独なタイムトラベルで、遠くなった過去、まだ見ぬ未来の手ざわり、そしてたちまち目の前を通り過ぎていくのに、いま、としか呼べない、いくつもの現在が、たったひとつの心のなかでぎゅぎゅっと凝縮したものが、それぞれのエピソードをつくっている。
だからこの本は日常をたんたんと書きとめた日記本というよりも、日記エッセイ、あるいは日記自伝本と呼んだほうがいいのかもしれない。なぜならわたしにとって、書きものとはつねにひとりの物語であり、生きてきたすべての時間を詰め込んだ、宛先のない贈りものなのだから。
——まえがき / p12より
「ねえ、もしみんながみんな、こんなふうに友だちみたいにしゃべり合えたとしたら、世界はどんな場所になると思う? 年齢も立場も関係なく、互いにフランクに話しかけていい、それがスタンダードなんだとしたら。世界はもっとやさしくなれる、安心な場所になれるって思わない?」
——ていねいさと親しさのあいだで / p77より
スクリーンの向こう、関係性の編み目をいくつもたどった先にいる、本来なら関わるはずもなかった人たちに、一方的な親しみを覚えてしまう気まずさと小さな暴力性を感じつつ、それでもこうして個人の物語を共有してもらえることにいつもありがとうの気持ちでいる。
自分の現実を生き切ることに疲れてしまった夜には、別の誰かの現実が、遠いあなたの物語が、大きな救いになることってあるんだよ、と思いながら、突然やる気が湧いてきてテキストエディットを開く、わたしの物語もきっと、いつかまた別の誰かの。
——枝の上の小鳥たち / p172より
[目次]
まえがき
1 / 秘儀は赤い道で起こる
2024年9月♡日(水)の日記
2 / 名前、人をつなぐ呪文としての①
2024年10月✴︎日(日)の日記
3 / 名前、人をつなぐ呪文としての②
2024年10月☽日(金)の日記
4 / ていねいさと親しさのあいだで
2024年11月☂︎日(土)の日記
5 / ときにはストレンジャーになって
2024年12月✞日(水)の日記
6 / Three is the magic number
2025年1月𓆙日(水)の日記
7 / お風呂のパラダイス
2025年2月♨︎日(火)の日記
8 / 枝の上の小鳥たち
2025年3月𓅪日(木)の日記
9 / 花の陰
2025年4月🌸日(金)の日記
10 /共感の先、共感の手前
2025年5月✚日(土)の日記
11 / 贈与の輪っか
2025年6月➰️日(日)の日記
12 / 身体を持った幽霊
2025年7月𓍦日(木)の日記
13 / ケア-フルな山小屋、そしてあとがき