2020年4月17日 第一刷
2020年7月7日 第二刷
新書判(102mm×181mm) / 104頁
初版150部限定「旅のおとも栞」付
覚えてはいられないすべての大切なことがここにはあるのだと、うつくしい暗やみを眼差しているちいさな屋根になりたい。
「うつくしい暗やみを眼差す屋根」p.79より
詩のような、エッセイのような、随筆のような文章が、55篇、贅沢に収められています。
この本は、遠くにいる大事なひとからの、心のこもった手紙のようです。
どこまでもやさしく、読むひとをそっと温めてくれます。
ここにはきっと、あなたのための一文が、ちいさな灯になるようなことばが、綴られています。
本文のなかに、読者とのかかわりについて、著者の思いに触れた部分がありますので、引用します。
「読んでいるとき、誰かが隣で肩を抱いてくれているような気がした」
そうした言葉を詩集の感想としてもらったことがある。
紙の上の言葉があたたかい腕になるそのとき、あなたはひとりきりで、私も遠くでひとりきりでいる。
お互いの冷えた手を握ることさえできないけれど、そこで目を開いて、本を開いてくれるだけで、私たちは出会い、言葉の外で話ができる。
そう、私はたくさん話がしたい。紙の上でだって、改札前でだって。言葉でもいい。言葉じゃなくてもいい。
ただ、あなたと話がしたくて、書いている。
「抱擁の言語」p.47より