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人文書院
2022年10月20日 第一刷発行
四六判 / 244頁
詰まるところ私が想像しているのは、己の容姿が嫌いなままでも余裕で生きていける社会である。この世は容姿というものに意味を見出しすぎているし、容姿が人間の生存に食い込みすぎている。解体すべきはそこなのだ。トマトが嫌いなせいで死ぬほど苦しむ人はほとんどいないのに、自分の容姿が嫌いなせいで死ぬほど苦しむ人は大勢いるというのは、絶対におかしいと思わないか?容姿の社会的意義が限りなく軽くなったときにこそ、われら(あえてわれらと言おう)の呼吸はようやく楽になるはずではないか!
——第3章 ルッキズムを否定する / p99より
私は特に「愛」の語りに鳥肌を立てている。「漠然としたfeeling good」の全てを否定するわけではないが、世間でここまで「愛」が尊いものとして重んじられているのを見ると、なんとグロテスクな仕組みなのだろうと思わずにいられない。批判しないとまずい気がする。くどいようだが、みんな「愛」に具体的なものを委ねすぎなのだ。解像度を下げて大きい括りに回収させる、この繰り返しで「愛」はすっかり幅を利かせているではないか。
——第6章 秩序を穿つ——ナショナリズム/天皇制に抗する / p175より
今や複雑な合意形成を広範に取り結ぶこと自体、ほとんど不可能になりつつあるのかもしれない。自分が何に対して何を感じているのかを緻密に言語化する作業、自分の宇宙を個別具体的な存在として捉え直す営みを、当たり前のこととして怠けずにやっていく必要がある。
——第6章 秩序を穿つ——ナショナリズム/天皇制に抗する / p176より
アナ―カ・フェミニスト高島鈴さん初のエッセイ集。
家父長制、天皇制、ルッキズム、資本主義——現代社会のありとあらゆる問題を横断し、鋭く刺し貫きながら、あらゆるものの革命的生存を祈る一冊です。
ここに綴られる文章は、明晰で、鋭く、燃えており、手加減がありません。やさしそうなことを言ったり、取り繕ったりはせず、“否”と判断したものについては、平手打ちを食らわすような強力さで追及します。
いままさに苦しみのなかに這いつくばりながら、血のにじむような切実さで、渾身の力をこめて書かれた本だからこそ、苦しみを根本的に絶つような、実践的な術は記されていません。分かりやすい答えは明示されていません。
けれど、はじまりからおしまいまで、一切の手抜きをしない本気のことば、世界を変えようという本気の訴えに耳を澄ますことは、かならず、自分自身を救済することになるはずです。
[目次]
序章
第1章 アナーカ・フェミニズムの革命
拒絶の言語
現象になりたい
アナ―カ・フェミニストになる
私は書かなくてはならない
殺意・カンダタ・肉団子
第2章 蜂起せよ、〈姉妹〉たち
シスターフッド・アジテーション
ケーキは投げずに全部食う
暴力の個人史
炎、死、女
第3章 ルッキズムを否定する
笑う流浪者、あるいはルッキズムに抗うための破壊
あの列車には乗らなくてよい
都市の骨を拾え
第4章 布団の中から蜂起せよ——新自由主義と通俗道徳
深夜テトリス
マグカップは割れ、風呂場のタイルは今日も四角い
幸福の終わり
セルフ・インタビュー
第5章 動けない夜のために——メンタルヘルスと優生学
大崩落の前に
愛と生存ンンン……。
夜を超える
第6章 秩序を穿つ——ナショナリズム/天皇制に抗する
ビジホで混ぜる「1のこな」
ゆるい合意で、がんがん拡大
景観を穿つ
第7章 儀礼から遠く離れて
銃口の前で踊り続ける
反誕生日会主義
パーソナル・ヒストリー
第8章 死者たちについて
電車の中で寝転がる人、ボルタンスキーの神話
町外れの幽霊たち
死者との合意
終わりに
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