サウダージ・ブックス
2024年4月7日 初版第一刷発行
四六変形判(120mm×188mm) / 136頁
けれどあえて沈黙を守ることで、つまり決してことばで語ったりしないことで、あるいは理解されることへの望みを放棄してまで、心の奥底に大切にしまっておきたい秘密の小箱がかならず人のなかにはある。
——台湾への旅、沈黙への旅 / p29より
心温まる素朴な祈りの情景を前にして、「自分らのかわりにアンタの目でたしかめてほしい」という願いをかなえる使命に人生を賭けてみようか、とそんな思いがふと心に芽生えた。
——ひそやかな約束 / p41より
そもそもタイトルにある「夏」も、永井さんが偏愛のまなざしを向ける特別な時間のあり方を象徴する、一種の詩のことばだと言える。
——聴こえてくる声を待ちながら——永井宏 / p71より
「戦争、疫病、異常気象。ふと顔をあげれば、日々の暮らしにさす死の影がますます濃くなる暗い時代がそこにある。花にも歌にも詩にも、この暗さを明るさに変える強さはない。……個としてははかなく弱くても、種のいのちがあまねくつづいていく、そのつよさを信じたい。あまねくつづいていくものに根ざす詩のことば に、美しさに、心とからだをやわらかく広げて待機していたい。」
旅と読書は、「本当に大切なこと」を、さびしさに震える君に教える。
サウダージ・ブックスの編集人である著者が雑誌、リトルプレス、ウェブマガジンに寄稿したエッセイを集成し、未発表の台湾紀行も収録。家族の歴史について、移動と定住について、小さな声を守る詩のことばについて、本のかたわらで考える随筆集。
(サウダージ・ブックスのサイトより)
[目次]
プロローグ——旅と詩、五冊の本
1 家族のはじまり
台湾への旅、沈黙への旅
2 旅することと住まうこと
ひそやかな約束
アナーキー・イン・ザ・小豆島
ここではない、どこかの港へ
血の繋がりや地域の繋がりは大事ですか?
3 小さな声の島
聴こえてくる声を待ちながら——永井宏
『幼年画』のことなど——原民喜
蔵書返却の旅——塔和子
山尾三省をめぐるふたつのエッセイ
「牛」と「らば」と「鳥」、
生きのびるうつくしいものたち
エピローグ——幕なしのダンス
後記