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シミズくんとヤマウチくん——われら非実在の恋人たち

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山内尚 / 漫画 清水えす子 / 文 柏書房 2024年4月10日 第1刷発行 四六判 / 200頁 家人がかつて祖母に交際相手の人となりを説明するよう求められたとき、非実在文学青年シミズくんが生まれた。この交際相手とは私のことだ。シミズくんは、私について性別を伏せて語ったところの産物である。我々はふたりとも、出生時に女性と割り当てられた者として生きている。 ——われら非実在の恋人たち / p15より 「おれはただ男でも女でもないそういう生き物でいたいだけなの 社会がおれを男のラベルでべたべたにしてくるんだ」「僕はヤマウチが性別のあわいを行き来する かわいい生き物だって知ってるよ」 ——ノンバイナリーであること / p36より 「でも実家の人たちがいなくなったら誰があたしたちの仲を証明してくれるの? 君が死ぬときに隣に居られなかったら一生世界を恨むよ」 「尚は私との人生のこと沢山考えてくれているんだね」 「10年以上も一緒に過ごしているのに 君と家族になれないなんて」 「こんなにも家族なのにね」 ——家族になりたい / p65-67より 清水えす子さんと山内尚さんはカップルで、ふたりとも「出生時に女性として割り当てられた者」として生きています。そして、山内さんはノンバイナリーでもあります。 バイナリー(男女二元論)が前提とされるこの社会のなかで、このようなパートナーシップのあり方は、ときに規範からの「逸脱」と見なされ、シスジェンダーの異性愛カップルと比べて「承認」が得られにくいどころか、構造上の不利益や不平等も受けやすい……。この本に登場する〈シミズくんとヤマウチくん〉は、そうした社会状況において生み出された〈非実在カップル〉です。 この名づけがたく、かけがえのないパートナーシップについて。ドラマティックなくせに驚くほど心温まって、地に足がついている。そんな私たちの生活と愛について。 【登場人物】 ヤマウチくん 漫画家。シミズくんのパートナー。家事においては料理を主に担当している。シミズくんがあまりに熱いものを持つのが下手でしばしばびびる。比較しようがないけれど、自分に比べて皮膚が薄いのかなと思っている。そろそろ新しいフライパンがほしい。 シミズくん ヤマウチくんのパートナー。もともと食器洗いの担当で、最近食洗機を導入できたのがうれしい。洗濯物も自動で畳めるようにならないかなと思っている。ヤマウチくんが仕事中に水分をちゃんと摂っているとほっとする。普段は精神科医をしている。 山内尚(やまうち・なお) 漫画家。清水えす子のパートナー。 清水えす子(しみず・えすこ) 山内尚のパートナー。普段は精神科医をしている。 (柏書房のサイトより、抜粋) [目次] プロローグ  ある日の反転  われら非実在の恋人たち 第1話 シミズくんとヤマウチくん  ぼくらの関係  あらがうためのウェディングドレス 第2話 ヤマウチくんはノンバイナリー  ノンバイナリーであること  ノンバイナリーってなんだっけ  奇妙なふたり 第3話 こんな社会で生きています  家族になりたい  パレードというもの  生活と愛の話  私たちの勇敢なるお茶会 第4話 魂が貴族——あるいは異形たちの生活  異形が二匹  生活の話  貴族、そして妙にストイックなオタク  厄介な双子  けものになろうよ  私の半身Ⅰ  私の半身Ⅱ  飲む石、眠る魅力的な蝙蝠  家人が金髪  さみしいときの話 第5話 ふたりで暮らす  ヒヤシンス先生のこと  亡霊と妖精  食器棚と食器と喪失  いつかの家  ヤマウチくん療養録  詩情に殉じて生きのびる エピローグ  胡蝶の夢  あのころ魔女になりたかったの あとがき おまけ 寝床のとりあつかい

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