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アイヌがまなざす

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著者 / 石原真衣・村上靖彦 発行 / 岩波書店 2024年6月13日 第1刷発行 四六判 / 376頁 いまだ継続する不正義と差別に対して、アイヌの人々は何を問い、行動してきたのか。五人の当事者へのインタビューから現代アイヌの〈まなざし〉を辿り、アイヌの声を奪い、語りを占有し続ける日本人のあり方を問う。 (岩波書店のサイトより) 本書に登場する人たちももちろん一人ひとり異なる経験と思想を持っている。しかし逆境や差別の残響は、当事者のアイデンティティや帰属意識にかかわらず、アイヌの出自を持つ人々に共通する。同時に、アイヌ自身からまなざされた世界は、差別や逆境だけに還元されるわけではない。本書は、150年来の歴史が今生きているアイヌの人たちの身体と思考、そしてアイヌを取り巻く社会状況のなかにどのように刻み込まれているのか、あるいはアイヌ自身がまなざしをどのように形成するのかを、アイヌ本人たちの語りを通して浮かびあがらせていく。 ——序章 まなざされるアイヌとまなざし返すアイヌ / p10より 「アイヌなんて隠して生きてる」に続いて2007年のこの場面でも「ポジティブだったら、アイヌを隠してなんて生きない」と繰り返された。出自を隠すことは、意識すらしていない身振りなのかもしれない。ここでも通奏低音としての沈黙というモチーフが繰り返されている。 先住民族サミットも、遺骨返還交渉も、アイヌの出自や状況が隠されている中で、あるいは隠していることすら意識していない中であえて強く声をあげる試みである。沈黙と声とのコントラストが語りの中では繰り返される。 ——第1部 遺骨返還運動とアイヌ近代史 / p70より 外から当てはめられるイメージは、アイヌ自身の言葉にも影響を与える。新井さんは左翼から「ゴミ」として扱われてアイヌから区別されたが、新井さん自身もスピってるイメージに合わせて語るアイヌから自分を区別する。しかしいずれにしてもアイヌという限定の中で自らの言葉を作らないといけない。 「アイヌが自分を説明するときに、自分たちを説明するナラティブがない〔……〕〔から〕、そういうところ借りてくる」のだ。外からのスピってるイメージを現代のアイヌが内在化し、現代のアイヌ自らスピってる語りをすることになる。 ——第3部 アイヌと外部を行き来する / p226より [目次] 序章 まなざされるアイヌとまなざし返すアイヌ 第1部 遺骨返還運動とアイヌ近代史  第1章 先人の尊厳と未来の教育  第2章 アイヌ文化を伝えられてこなかったことに      誇りを持っている  第3章 幽閉されるアイヌと遺骨 第2部 インターセクショナリティ  第4章 アイヌ女性と複合差別  第5章 先住民フェミニズム批評 第3部 アイヌと外部を行き来する  第6章 羽をパタパタさせればいい  第7章 家出少年は傍らに神話を持つ  第8章 思想的消費とまなざしの暴力  終章 まなざしの転換 あとがき 交差する場所をひらく 謝辞

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