著者 / 佐々木ののか・しいねはるか
発行 / 地下BOOKS
2025年5月1日 初版第1刷発行
A6判 / 180頁
二人の文筆家による往復書簡とエッセイ。
といっても、もともと仲良しの二人ではありません。面識はない。住む場所も、歩んできた道も違う二人。共通していたのは、それぞれの生きづらさに向き合ってきたこと。
愛とは。仕事とは。表現とは。生きるとは。
二人だけで始まった実験的な書簡のやりとりは、互いに影響を与え合い、やがてそれぞれに変化をもたらします。
書簡のやりとりを経た二人は「お互いにとって書かざるを得ないもの」「自分の人生に大きな影響を与えたもの」をテーマにエッセイ・物語を執筆。
生きることのコアに柔らかく触れる、5つの書簡と各8編のエッセイ・物語。ちいさなかくめいの本。
(地下BOOKSのサイトより)
こうしてかたちになったプロセスを改めて振り返ってみると、私は(おそらくはしいねさんも)往復書簡を始める前と後では大きく変わっていることに気づきます。もちろん、一年半近い年月の間に、それぞれの生活をしているのですから、互いに変化があっても不思議ではないのですが、お互いにお互いが影響を与え合ってきた軌跡が感じられるのです。少なくとも私の場合はそれが文体にあらわれている気がします。
——はじめに / p6より
普通かどうかに捉われていることに少々のばかばかしさを感じました。もしかしたら、自分が思う枠組みをなぞり続けることや、完コピしようとしたり擬態することは、その枠を強化しているのかもしれない。とらわれることそのものが枠組みの一端を担うことになるのかもしれない。
ふとそう思い『普通』を育てることをやめて、わたしが望む社会を生きてみることにしました。
自分にとっての心地よさはこれかな?わたしはどうしたい?と、ひとつひとつ感じとりながら暮らしています。大げさかもしれませんが、ほんとうに生きたい社会を作るように生活してみたいです。
——第三便 恋愛(しいねはるか)/ p69より
当初は私が支配していた身体との関係は変化し、師弟関係が逆転した今では、私のほうが身体に教えを乞うている。けれど、自分の限界をすぐに見誤る私はよく動けなくなり、そのたびに身体から添削を受けているような気分になる。それでも、そんな私を見放すことなく、執拗に関与し続ける師がいることがありがたい。動かなくなっても生かしてはおいてくれる。そんな身体のやさしさを感じて、私は私の怠惰さを赦されたような気持ちになる。
——ちいさなかくめいのはなし(佐々木ののか)
/ p148より
[目次]
はじめに
第一便 きっかけ
第二便 表現
第三便 恋愛
第四便 仕事
ちいさなかくめいのはなし
——序文
——しいねはるか
——佐々木ののか
第五便 変化