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発行 / 講談社
2023年11月7日 第1刷発行
四六判 / 160頁
言葉のコミュニケーションは、希望と切実さと複雑さに満ちている。「紀伊國屋じんぶん大賞2023」第2位『言葉の展望台』著者が贈る、最新哲学エッセイ!
「痛み」を伝える言葉、webの中の私の「言葉だけの場所」、「どういたしまして」の可愛さ、当事者視点からの語りかた、「からかい」が起きる場面、メタファーが見せてくれるもの、定義することへの懐疑、カミングアウトの意味とその先……。
(講談社のサイトより)
「痛い」という言葉が日常のコミュニケーションにおいて用いられるとき、私たちはこれをそのようなことを求めるための言語として用いているのではないだろうか?そこにはそもそも確実な知識への憧れなどなく、それゆえに他者の心の懐疑論だってなかったはずなのだ。私たちはただ、誰かが「痛い」と言いだしたのをきっかけにして、ともにやっていくやりかたを再考しているだけなのだから。
——痛みを伝える / p13より
最近、矛盾が気になっている。といっても、嘘つきパラドックスやらラッセルのパラドックスやら、そういったいかにも哲学らしい問題のことではない。興味があるのは、ひとりのひとが相反する考えを、それらが互いに矛盾していると知りながら、それでもなお抱え続けるような状況だ。
——ぐねぐねと進む / p104より
最後に、きっといるであろうクィアな読者の方々へ。この文章を書いているときにも、とても辛いことがたくさん続いています。社会全体でもそうですし、それぞれのプライベートな場面においてもそうしたことはきっとたくさんあるかと思います。(…)私は自分やそのひとたちがそれまでどうにか生き抜いてきたこと、そしていまそうしたひとたちと出会い、おしゃべりをできていることに泣きそうになってしまいました。だからこれは私のわがままなのですが、もしよかったら、どうか諦めず生きていき、そしてどこかで会う機会があれば、声をかけたりしていただけたら、と思っています。とはいえ私はひどい人見知りなので、きっとどぎまぎしてしどろもどろになってしまうでしょうけれど。
——おわりに / p154より
[目次]
はじめに
痛みを伝える
言葉だけの場所
「どういたしまして!」の正体
該当せず
からかいの輪のなかで
たった一言でこんなにもずるい
給料日だね!
言葉のフィールド
カミングアウト
ぐねぐねと進む
安全な場所——『作りたい女と食べたい女』
命題を背負う
一緒に生きていくために
おわりに