発行 / twililight
2024年3月11日 初版第1刷発行
B6変 / 168頁
「ほんとうにひとりのひとり暮らし」を機に、日記をつけ始めた詩人。島での免許合宿、ソロハイク、初めてのドライブ……40代の広すぎる道を、確認しながら自分で運転してゆく日々が始まった。
“出会っても出会っても、歳をとればとるほど、自分のことをどこから話せばいいかわからない感じになっていくのだろう。だから深い関係がほしいのかもしれない。だから日記なんか書くのかもしれない”
(帯文より)
16年ぶりのひとり暮らしだった。大学二年の冬から続いたひとまわり歳上のパートナーとの共同生活を、終わりにすると決めたのは私だった。彼は何も言わずに私を送りだし、送りだしたあとも見守ってくれた。
(…)
けれどもあるとき、私は旅先でぱちんと出会ったひとと急速にひかれあった(そのことはこの日記にはあまり出てこない)。私は私の倫理と希望に照らして、新しい関係を大切に育ててみなければならなかった。その先に何が待ち受けているのかなんて想像もつかなかったけれど、合鍵は返してもらわねばならなかった。
そのようにして、私のほんとうにひとりのひとり暮らしは始まった。私は私の見た風景を書き留める日記を、改めてつけることにした。待ち受けていたことのいくつかは、この日記にも、出てくる。
——ある冬 / p10-12より
もっと正直に書くなら、いま私は、「詩人・大崎清夏」としての言葉が人前に出るほどどんどん上達してしまうのが、嫌になってもいるのだった。もっと言葉が下手になりたい。包まないまま投げ捨てたい。その方法がわからなくて、じりじりしてもいるのだった。
こういう動きかたが自分にどう沈殿していくのかは、まだわからない。でもたぶん私はいま、自分の外に出ていきたいのだろう。風で道の脇に落ちた、小枝のようなものになりたいのだろう。そういう私自身を、じっくり引き受けてやりたいと思う。
——春と夏 / p31より
大きな満月を浴びてしまった。めずらしく眠れなくなる。
——運転しない日々 / p114より
[目次]
ある冬
春と夏
合宿
立秋まで
ソロハイク
運転しない日々
珠洲へ
奥会津へ
南伊豆へ