編 / 松村圭一郎・中川理・石井美保
発行 / 世界思想社
2019年4月30日 第1刷発行
四六判 / 224頁
あたりまえを疑う。
言うは易しだが、これが思うようにできない。手ぶらでやろうとすると気づかぬうちにかつての「あたりまえ」のなかに囚われてしまう。生活のあたりまえ、男女のあたりまえ、会社や仕事のあたりまえ、経済や文化のあたりまえ、国家のあたりまえが劇的に変わっていこうとしているなか、これまでの「あたりまえ」から出ていくためには、優れた道具が必要となる。
文化人類学は「これまでのあたりまえ」の外へと出ていくための「思考のギア(装備)」だ。本書はその最先端の道具が一式詰まった心強い「道具箱」だ。
こんなに「使える」本は滅多にない。ビジネスマンからクリエイター、学生まで、下手な実用書を買うくらいなら、これを常備しておくことをおすすめする。
(世界思想社のサイトより)
考えるためには、時間の余裕が必要だ。気力や体力もいる。でも、それだけではない。なにより、筋道をたてて思考するための「方法」がいる。うんうんとひとりで頭をひねりまわしても、考えは深まらない。
考えるために役立つ道具箱をつくりたい。しかも、文化人類学というユニークな学問が育ててきた思考の道具がたくさん詰まった道具箱を。この本は、そんな思いで編集された。
——はじめに / piより
幸いなことに、第二次世界大戦後の日本は戦争という大きな暴力の現場にはならなかった。だがダニエルの指摘に従うならば、私たちの生活空間にも大きな暴力へといたる徴候がどこかで見え隠れしているはずであるし、戦争のようには目立たないが、人びとの日々の生活を蝕む差別や貧困などに由来する「日常的暴力」(⇒コラム9)がそこかしこに現れているはずだ。
——9 戦争と平和 / p135より
つまり、人間の子どもは母親から離れ、いわばより脆弱な存在になることでかえって、母親以外の者との関係性や言語によるコミュニケーションを育んできたと考えられる。このことが人間の社会性の基盤にあるのだとすると、苦しむ者、弱き者、助けを必要としている者とともに生きるためのケアの論理は、人間が人間であることの根源を照らし出すものだと言えるかもしれない。
——12 ケアと共同性 / p175より
[目次]
はじめに
序論 世界を考える道具をつくろう
(松村圭一郎・中川理・石井美保)
第I部 世界のとらえ方
1 自然と知識(中空萌)
2 技術と環境(山崎吾郎)
3 呪術と科学(久保明教)
4 現実と異世界(石井美保)
第II部 価値と秩序が生まれるとき
5 モノと芸術(渡辺文)
6 贈り物と負債(松村圭一郎)
7 貨幣と信用(深田淳太郎)
8 国家とグローバリゼーション(中川理)
9 戦争と平和(佐川徹)
第III部 あらたな共同性へ
10 子どもと大人(高田明)
11 親族と名前(髙橋絵里香)
12 ケアと共同性(松嶋健)
13 市民社会と政治(猪瀬浩平)
参考文献
もっと学びたい人のためのブックガイド
索引
コラム
1 認識人類学の展開 分けることと名づけること
2 ブルーノ・ラトゥール STSと人類学
3 スタンレー・タンバイア 呪術・科学・宗教
4 合理性論争
5 岡本太郎 境界線を吹き飛ばす爆発
6 マルセル・モース 『贈与論』のその先へ
7 貨幣の多義性
8 フーコー権力論と人類学
9 日常的暴力と日常的平和
10 生業と子育て
11 あらたな親族研究の潮流
12 民族誌、実践誌、人類学
13 デヴィッド・グレーバー アナキズムと人類学