発行 / 創元社
2018年1月20日 第1版第1刷発行
四六判 / 128頁
人には相談できないけれど切実な、母の事、結婚の事、家族の事をつづったエッセイ集。
「家族をつくることに失敗した。」
こんな書き出しではじまるエッセイ集。ZINEとして2016年8月に発行し、好評を博した広い意味での「家族」をテーマとする自伝的作品『愛と家事』。その増補再編集版。
虐待までされてないし、愛されている。けれど、お母さんとなんかしっくりいかない。形は違えども、多くの女性が抱える、母親の「愛情が重たい」という苦悩や、一度目の結婚の失敗と挫折からの回復などを赤裸々に綴り、共感を呼んだエッセイ集。
新たに、30歳頃に遅れてやってきた母への反抗期や、淡路島の農家で共に暮らした祖父母の話などを加えた、小さいけれど切実な話をつづった可憐な小品集。
「愛に関する正解は、全部「自分」が決めていい。
——植本一子(写真家)」
(帯文および創元社のサイトより)
だから、わたしはどんどん遠くに行きたい
お母さんの声の届かないところに行きたい
懇願も感傷も罪悪感も全部振り切って
どんどん遠くに行きたい
遠くに行かないと、わたしはわたしの人生を生きられない
わたしは、わたしの人生を、自分の手の中にしっかりと握って
どんどん遠くに行ったその先で
今度はわたしの声を響かせたい
——遠くに行きたい / p26より
不当なことをされたり言われたりしたら怒る。そうするのは、気が強いからでも、常識がないからでも、わがままだからでも、世間知らずだからでもない。それは当たり前の権利であるとともに、自分の価値をわかっているからだ。それが自尊心というものだし、そうやってすこしずつ育てていくものだと思う。まだときどき怒りに飲み込まれそうになることがある。嫉妬とか、やっかみにも飲み込まれそうになることがある。だから、そうなりそうなときは、よく観察しようと思う。そうやって自分の怒りを上手に飼いならして、つきあっていきたい。
——怒りとのつきあい方 / p65より
世の中には無数の「愛」と「家事」がある。そして、そのどれもが、誰にも侵されない「愛」であり「家事」である。その一つ一つがどれも尊い。わたしの「愛」と「家事」はその中の一つに過ぎない。
——あとがき / p124より
[目次]
失敗
わたしの故郷
遠くに行きたい
母のようには生きられない
出せない手紙
遅れて来た反抗期
怒りとのつきあい方
フェミニズムとわたし
わたしには家がない
最後
愛と家事
夫のいない金曜日
家族2.0
念を送る
あとがき
初出一覧