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親指が行方不明 / 尹雄大

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発行 / 晶文社 2022年2月25日 初版 四六判 / 192頁 ぎこちない、まとまらない、よそよそしい。 この「こころ」と「からだ」をどう生きるか。 内側にある「もう一人の自分」との出会い方。 自らの身体の層に宿る「さまざまな他者」との出会いがもたらすものとは…… 親指が動かず、骨盤は曲がり、背骨がねじれ、強迫性衝動(未満)、自律神経失調(未満)、学習障害(未満)……等々。数えきれない「ままならなさ」を抱える著者による、当事者研究の新しい極北。 【名越康文氏(精神科医)、推薦!】 我々の心と意識と身体は、実は別々のタップを踏み続けている。足が絡まり転びそうになりながらも、我々は人生という舞台で踊り続けるのだ。 普段見落とされている、この生きづらさの本質を、著者は活き活きと暴き出す。このことが納得できるだけで、どれだけ多くの人生が救われることだろうか。 (晶文社のサイトより) 僕らの立ち位置からすると(僕らと言わせてもらう)、抱えている困りごとは、暮らしが立ち行かないほどの支障をすぐさまもたらすものでもない。コップをやたらと割ったり、コミュニケーションが難儀になる時間帯があったりする。わりと挙動不審だし、不具合は明らかに起きている。でも病気未満というか「ちょっと変わっている」でなんとか済まされる程度ではある。大炎上はしないけれど、ずっとボヤ続きみたいな感じだ。 「健常と障害はグラデーションでしかない」とよく言われる。けれどもコントラストがはっきりしないから、中途半端に社会性を持ててしまう。それだけに違和感が募ることも余計に多い。病院へ行って「〇〇障害」という診断名をつけられたら、気休めになるかもしれない。だからと言って自分の心や身体がまとまらない違和感がなくなりはしない。 ——はじめに / p13より 社会と自分とがズレなく接続するためには、その下ごしらえとして自分の心と身体が社会から逸脱しないようにしつけておく必要がある。身体は行為することで世界を経験するし、理解していく。身体はそのための主体であり、それは分割されない個人でもある。ごく普通に受け入れているこのコンセプトが、僕らに自然と意識的に生きるよう促している。 ——第2章 ズレているのにズレてはいけない奇妙な世界 / p58より 僕の身体は、日常的に「現実」と呼んでいるところからするとよそよそしく、それとの接点が限りなく薄い層へと潜ったのだろう。そこでは日常生活と違って、物理的接触とは頬を撫でる風で十分。「淡きこと水の如し」の関係性くらいでちょうどいい。 そういった経験をしていくと、僕らは身体というものをひとつだと思っているけれど大間違いだとわかる。経験ごとに層を成していて、身体は多層的なものなのだ。 ——第5章 武術で知った身体と現実の多層性 / p146より [目次] はじめに 第1章 バラバラにズレた心と身体のあいだの観察  1 だって心がそうさせるだもん  2 チックとお祓い  3 不意打ちに”それ”が訪れる  4 誰の痛みかわからない  5 ナチスの行進  6 快感と暴力  7 独り言をいう身体との同調  8 病を病んでいないことが最大の病  9 ズレではなく「あいだ」 第2章 ズレているのにズレてはいけない奇妙な世界  1 意識でマネジメント  2 「意識する」が現状にもたらしたこと  3 パチンコとプラグマティズム哲学  4 その信念を誰に教わったのか  5 統合には権力が不可欠  6 「小さく前へならえ」という謎の振る舞い  7 病を生きてしまわない  8 素朴な問いかけを忘れてしまった  9 時間と欲望  10 心は時間を跳び越える 第3章 「あいだ」からみた現実  1 サインはうまく書けなくて  2 巧妙な意識的統合  3 白昼夢という現実もある  4 生きづらさの現実はどこに宿る  5 生きづらさの感覚のリアリティ  6 感じていること/感じている自分  7 ない身体がある  8 内観的な身体 第4章 身体観から現実を捉える  1 カフェラテはうまくつくれない  2 インクルーシブな社会を憂う  3 概念の外に出ることはできるのか  4 結果から結果は導けない  5 原因は「生まれてきた」ことそのものにある  6 統合されることのない「あいだ」にある身体  7 痛みと苦はどこにある  8 自己否定の身体観がやって来た  9 目に映る次元の出来事がすべての現実ではない  10 天空の青の意味すること  11 親密さが積み上がらない  12 親密さの最大の高まりは共感  13 共感をゴールにしたがる身体観とは 第5章 武術で知った身体と現実の多層性  1 シラットで知る取り合わないコミュニケーションと   身体の層  2 相手に取り合わないという敬意の払い方  3 よそよそしいからこそ相手に触れられる  4 揺れる手が映す幸福  5 晴眼者は開眼した世界を現実と思う  6 心眼があった時代の身体  7 痛と苦を深層で捉える  8 思いも寄らないところにいる自分  9 腹と肚と胎  10 死者との同調  11 死もまたひとつの運動  12 わずかに触れてすれ違っていく  13 他者の言葉を他者のこととして知る 終わりに

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