訳者 / 吉良佳奈江
発行 / 現代書館
2026年7月25日 第1版第1刷発行
四六判 / 200頁
なぜ韓国人は路上に集まり、声を上げるのか? 彼らを路上に駆り立てるものは何か。「集まってこそ生きられる」といわれる韓国の集会文化を理解するエッセイ集。
「小説を書き、翻訳をして、デモをする」人気作家チョン・ボラの初エッセイ。実際にさまざまなデモに参加しているチョン・ボラがデモの当事者たちに心を寄せて真摯に、そして明るく当然のようにデモに向き合う様子が描かれる。本書に登場する韓国の社会問題のほとんどすべては、日本社会の課題とまったく共通しているところもポイントです。
実際に登場する出来事
梨泰院圧死事故/トランスジェンダー追悼の日/セウォル号沈没事故/ソウルメトロ非正規労働者死亡事故の追悼/香港の雨傘革命/マレーシア航空失踪事件/全国障害者差別撤廃連帯の闘争/ロウソク集会/雙龍自動車解雇問題/差別禁止法制定運動/性的マイノリティ・外国人労働者問題/貧困撤廃のための社会連帯/「堕胎罪を廃止せよ!」 「最低賃金を引き上げよ!」の交差/旭硝子(現AGC)非正規職員解雇問題/ウクライナ侵攻に関してロシア大使館前で戦争反対集会/フリーパレスチナ集会などなど!
(版元のサイトより)
四季を通しての必需品は水、敷物、予備のバッテリー、ポケットティッシュだ。それからわたしは集会場のアンプの爆音に耐えられないので、耳栓もいつも用意して持っていく(アンプの爆音を聞きつづけると難聴になりかねない)。耳栓は3M社のオレンジ色が最高だ。
——準備するもの / p3より
署名を集めているとき、犠牲になった学生たちの携帯電話から復元された最後の瞬間の映像が、大型のスクリーンに絶え間なくリピート再生されていた。それは親たちが自ら決定したことだったけど、誰にとっても耐えがたいことだった。スクリーンは署名台の左側に一列に設置されていたので、署名台からは横を見なければスクリーンを見ることはなかった。だから、犠牲になった学生たちの姿を見つづける必要はなかった。ただ、声だけは聞きつづけるほかなかった。イェスルの「生きて会おう」という落ち着いたひと言、トンヒョプの「僕は! 夢があるのに! 僕は! 生きたいのに!」と叫ぶ声。
——集会につどう人たち 1 / p39より
ユートピアに向かって同志たちと一緒に進む方法は、実はさまざまなのだろう。わたしはデモに出て同志たちに直接会って、実際に地面を踏みしめて一緒に行進するのが好きだ。文字どおり歩くたびに一歩ずつ、もう少しよい世の中に近づけそうな気がする。疲れて大変でも、わたしたちはよりよい世界のためにともに進む。
闘争。
——ユートピア / p187より
[目次]
準備するもの
梨泰院
光化門
集会につどう人たち 1
地下鉄駅
行進
五体投地
集会につどう人たち 2
フェミニストたちの黒いデモ
万国の労働者よ、団結せよ
高空籠城
海外との連帯
ユートピア
訳者あとがき